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DATUMS 1997.08
障害者の社会参加を促進する支援プログラム
  :CCS (Crippled Children Society)


伊藤 誠  日本交通公社労働組合中央執行副委員長

■いとう まこと


  CCSは、ニュージーランドにおいて、身体的な機能制限状態を有する人々の権利擁護団体として、半世紀以上にわたり活動を行ってきました。
  組織化はロータリークラブによって始められましたが、発端となったのは1916年と1924年に起こった悲惨な小児麻痺の流行でした。その後、機能制限状態を有する子供たちの窮状はロータリークラブの会員たちの注目するところとなり、1935年に開催されたロータリー会議において「不具の子供たち協会」(Crippled Children Society:CCS)という名称の組織が設立されました。
  その活動の主な目的は、(1) QOL(Quality of life)の向上や、社会参加促進に向けたパートナーシップの構築、(2) 地域社会への完全参加、(3) 教育支援活動や権利擁護運動を通じた、社会的、法律的、政治的差別の除去、(4) 会社や組織の管理もしくは運営スタッフへの就業機会の拡大、等で、現在、国内に約20の支部組織があり、今回訪問したのもその支部の一つになります。
  サービスプログラムには、『おもちゃ図書館』(Toy Library)──ハンディキャップを有する子供の、社会的、身体的、そして知的な発達の質を高めるためのおもちゃや本、ゲームや楽器を、4週間の期限で同時に貸し出すプログラム──や『人形劇ショー』(The Disability Awareness Puppet Program)──CCS自慢の啓蒙活動で、言わば「機能制限者についての理解と認識を深めるための人形劇プログラム」。この人形劇ショーでは、それぞれ視覚・聴覚障害の子供、やけどを負っている子供、車いすの子供、てんかんの子供等を表す人形を使いながら、子供たちに障害者が健常者と何ら変わりがないことを教えていく。5つのチーム(1チーム2人で、障害者を含む)が、全国の学校巡回にあたっている。──などがあり、支部毎に工夫を凝らした内容となっています。
  私たちが訪問したオークランドの支部でも、(1) コンピュータ教室(基本ソフト、表計算、ゲーム等)、(2) 料理教室、(3) アート&クラフト教室(作品は販売)、(4) 農園栽培(有機無農薬野菜を栽培して販売)、(5) 作文教室など、広い敷地を利用した多様なプログラムが実施されていました。居住地域での適応が最大の目的であることからも、施設での宿泊は禁止とされており、事実、この施設から抜け出せないという人はいないそうです。

  ニュージーランドはノーマライゼーションの先進国というイメージがありますが、それは建物や乗り物などの設備面というよりはむしろ、国民全体のボランティア精神が非常に旺盛だということです。この国に来て最初に感じることは、人々の目が大変“やさしい”ということです。町で車いすの人を見かけたら自然と手をさしのべる、そういった雰囲気があります。また、観光客が街頭でガイドブックに見入っていると、すぐに誰かが近寄ってきて、「何か相談にのりましょうか?」と声をかけてきたりします。
  確かに、大勢の障害者の方々が一度にニュージーランドを訪れても、現状では施設的には十分対応できないでしょう。しかし、ボランティアをはじめとした人々の力と熱意で何とかしてしまう、そういう温かさとパワーが、CCSで活動するスタッフの方々からも実感することができました。

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