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DATUMS 1997.09
構想日本の目指すもの、その手法

加藤 秀樹  「構想日本」代表

■かとう ひでき
 1950年香川県生まれ。73年京都大学経済学部卒業後、大蔵省入省。証券局投資管理室長、財政金融研究所研究部長、大臣官房企画官を歴任。96年大蔵省を退官し、政策立案シンクタンク「構想日本」を設立。編著書等『環境保全と経済の発展』(ダイヤモンド社)、『日欧米の経済社会システム』『アジア各国の経済・社会システム』(東洋経済)。


  行革、規制緩和、変革……。日本は今、「変えたい時代」を迎えている。
  しかし現在の議論の大半はどういう日本をつくるかという目標のないままに、もっと手前の話をしているだけなのだ。それが省庁の再編成であったり、規制緩和であったりする。企業に例えれば、どういう会社にする、商品をつくる、ということよりも、もっぱら組織改革を議論していることになる。このようなやり方で、今我々を覆っている閉塞感や不透明感をはらすことはできない。
  では、どうするか。
  それは「国家改造計画」をつくることではない。その発想自体が画一的で、閉塞感をつくりだす元凶である。個人が各人の持ち場と問題意識で、イニシアティブをとり、行動することこそが重要なのだ。それらの行動を繋げ、「気が晴れる」社会への具体的なプランを示していくのが構想日本の役割である。
  構想日本の活動を表現するキーワ?ドが 3 つある。「現場」と「知恵のネットワーク」と「イニシアティブ」である。「現場」とは、現場の実情を踏まえた知恵を生かすということだ。地方分権を永田町、霞が関周辺で考えても切迫感がないため、反対する人が多いとやめておこうということになる。自分の子供がいじめで学校へ行かないという問題には切迫感があるが、世の中の大多数にとっては人ごとである。自分のこととしてやらないと世の中は変わらない。
  身の回りの問題を解決するために行動している人は随所にいる。例えば身体障害者を自立させ、福祉サービス受給者から納税者にしようという活動がある。高齢者を介護するのではなく自力で生き抜いてもらおうという活動である。ここには補助金の獲得といった受け身の発想はない。このような活動こそが改革のスタートになるはずである。
  次が「知恵のネットワーク」。変革の方向を見定めるには歴史観や世界観が必要だが、長期的視点にたって物事を考える人は実銭の場に遠く、具体的な行動をとれないでいる。他方、政治、行政、経済の第一線にいる人達は目の前の事に汲々として、問題の全体像が見えない。この双方をつなげるのが「知恵のネットワーク」である。様々な分野の専門家、実務家そして現場の実践の知恵をつないではじめて正しい方向性を持ち、かつ具体的な政策がつくれる。
  では「イニシアティブ」とは何か。変革には実践者が必要だ。まわりを見渡してみれば、そのような人は、政治家、各地の首長、あるいは民間で公的活動をしている人(いわゆるNPO)など随所にいる。これらの活動が変革のイニシアティブである。我々は政策づくりを通じて彼らと連携し、その支援をしていこうと考えている。
  以上が構想日本の活動の基本である。したがって、理論のみから政策をつくるのではなく、フィールドワークが重要になってくる。フィールドワークを通じて獲得された経験と知恵のみが、確実に応用できる。この経験、知恵を組み合わせて編集していくと、もっと大きい知恵が出る。あるいはそれらを凝縮していくと、政策、システムが出てくる。そこが単なる政策提言活動とは違うのである。

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