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DATUMS 1998.12
労働組合、今年1年
 ―組織化、生活実感の政策要求、環境問題への連合の挑戦


成川 秀明  連合・経済政策局長

■なりかわ ひであき
 1967年、東京大学経済学部卒業。73年、民間シンクタンクへ入社。82年総評に書記として入所。89年連合へ移籍し、労働政策局次長、労働局長を経て、96年より現職にいたる。


  「行動」を合い言葉に働く者の声のアピールに努めてきた。従来の発想にこだわらず、長引く不況への対策の強化など新しい運動に着手してきた。これが、労働組合の中央団体である連合のこの98年の活動の特色と言うことができる。
  その一つは、組織化の抜本強化の取り組みである。わが国の労働組合は、この間の低成長と産業構造のサービス化、グローバル化のなかで、労働組合員の数が減りつづける環境に変わっている。労働組合員の数は過去のピークの1994年よりも97年には約40万人減少し、組織率は22.6%となり、組合員数、組織率ともにオイルショック以降の最低となった。連合に参加する労働組合員数も停滞状況にある。この流れは、連合の交渉力を弱め、産業別組織の財政基盤を侵している。これに対抗するため、連合は、産業別組織には組織拡大目標を提示、地方連合会にはこの5月に組織化アドバイザーを設置する新対策を実施した(現在30地方連合会56人)。これは、従来の産業別組織中心の組織化活動から、連合が責任を持って組織化するとの新方針を打ち出したものと言える。
  二つ目の活動は、政策・制度要求の取り組みについて、勤労者の生活実感を重視した「目に見える行動」に一段と力を入れていることである。新しい裁量労働の導入、時間外労働の規制改正に関わる労基法改正問題では個人署名運動を行い、昨年11月に 550万人署名を国会に提出し、審議会、国会対策などねばり強く取り組んだ。また、この秋の景気回復・雇用創出の要求行動では、「政労使による労使対策会議」を政府に設置させ、 100万人雇用創出の具体策の実現をめざしている。さらに年金改革では安心と信頼の年金制度への改革案を提示し、厚生省の改悪案を跳ね返す運動に取り組んでいる。
  三つ目の特色として、労働組合として環境保全問題の活動を開始したことも新しい挑戦のひとつにあげられる。身近なところから、出来ることから始めるとの確認で、組合事務所と職場におけるゴミ減量化、省エネなどの運動をこの10月から開始している。さらに98年7月の参議院選挙では、「自民党に代わる政治勢力の結集」をめざし、産業別組織は統一対応で選挙活動に取り組み、連合支持候補者30名の当選により、参議院においては自民党過半数割れの政治状況を創り出している。
  このように、連合は新しい活動に意識的に挑戦している。確かにその広がりは産業別組織や地方連合会にとどまり、職場の単位組合の活動と連結するまでには至っていない。職場の組合がこれら新たな挑戦に積極的に参加する状況を創り出せるか否かがこれからの労働組合運動の重要課題と考えている。

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