[BACK]
DATUMS 1998.03
バリアフリーを目指して!

浅川 陽子  朗読ボランティア「ひびき」

■あさかわ ようこ
 慶応義塾大学卒業後、英国、米国留学。95年、埼玉県・米国オハイオ州ボランティア交流事業に埼玉県より派遣され、さまざまなボランティア活動を視察・体験。現在、飯能市において朗読ボランティア、配食サービスのボランティア活動を行ない、地域のボランティア活動の充実に努力している。


  朗読ボランティア「ひびき」に10年ほど前から所属しています。そのなかでの活動の一つに、老人ホーム訪問があります。これは先輩方から始まり、もう20年に及びます。
  私が参加し始めた頃は、少人数のグループで紙芝居や本の朗読を聞いて頂いていましたが、一度に約80人を観客とするようになったこともあり、出し物が変わってきました。
特養のホームなので、比較的お元気ですが一人では身の回りのことができないという程度の方、車イスの方、耳の遠い方、痴呆症の方など、皆さん事情が違います。その反応を見ていると、1時間を楽しんでいる方もいますが、ただ付き合っているだけの方もいらっしゃるようです。私たちだけが浮いてしまうこともありました。
  そこで、もっと一体感を持てる場づくりをと考え、目でも楽しんでいただけるように紙芝居を大きくしたりと工夫をしてみました。また、お年寄りがよく知っている新派、歌舞伎の類を取り入れるようにもしました。すると、朗読劇なのですが『金色夜叉』『瞼の母』『源氏店』というような話に涙する方、声を掛けてくれる方、「昔、どこそこの劇場に行った」と話してくれる方と、楽しんで下さっている雰囲気が伝わってくるようになりました。
  ある日、『月の砂漠』を皆で歌った後、月光仮面を思い出したので言ってみると『月光仮面の歌』が飛び出しました。そこから『赤胴鈴の助』に発展し、そのころのラジオドラマへと話が弾みました。工夫の末に心のバリアフリーを感じた一日でした。準備していったものと変わることもありますが、その場に合わせて、一緒に創る1時間にしたいと努めています。
  私たちとは興味が違い、そして、今は同じ老人ホームで生活しているけれども、今までの70年間の生活環境の違った、趣味の違った人たちの集まりです。一口にお年寄りとまとめてしまうことは人格の無視であり、個性の尊重こそがこれからのボランティアの課題だと思います。そして、もちろんボランティア側の個性の尊重、自由な選択も考えられなければならないでしょう。
  私の住むところは街から10kmほど離れた交通の不便な場所ですが、ボランティア希望者は増えています。それぞれが、気軽にできるボランティア活動が身近にあれば、気持ちの上でも経済的にも負担が少なくてすみますので、活動にも参加しやすいのではないかと思います。とかく閉鎖的になりがちな地区ですが、ボランティア活動を通じてお互いを知り合い、そこからバリアフリーの社会が生まれるよう、目指していきたいと思っています。

[BACK]