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DATUMS 1998.04
あなたの葬儀どうするの?

楠原 吉晴  株式会社ウィルバンク代表取締役

■くすはら よしはる
 1941年生まれ、逗子で育つ。明治大学法学部卒業。外車輸入販売会社、米国製木製遊具輸入販売会社を経て91年(株)ウィルバンク設立に参加し、現在に至る。


  昨年暮れ、某大手製菓会社の役員を2年前までなさっていた方が、ガンで亡くなられました。故人の遺志は自分の死で周囲へ迷惑をかけたくないので、宗教色をなくし、家族だけで送れ、兄弟親戚、友人、近所、会社には全てが終わってから知らせろ、香典供花等は一切辞退、新聞等への掲載も辞退と書き残されておられました。危篤状態になられてから、いかにご本人の意志を一番いい形で実現するかを、ご家族とウィルバンクが話し合いました。
  ご遺体は病院から自宅に帰らず、火葬場(斎場)の安置所に直行し、柩の回りを故人の好きだった白の花でシンプルに飾り、翌々日にご家族4人だけで火葬されました。亡くなられてから火葬するまでの2日間、誰にも煩わされることなく、ゆっくりと十分にお別れが出来たと明るくお話されていました。
  もし、会社等に知らせていれば、遺族も喪服を着て参列者の応対に追われ、お別れする状態にならなかったのではないかと思います。そして、夫、父がしっかりと決め、書き残しておいてくれたので非常に助かったことや、故人の遺志を実現出来たことは非常に嬉しく思ったと、ご遺族は話しておられました。
  ご兄弟、親戚、会社からは、何故知らせてくれなかったのか?と言われたそうですが、故人の遺志の内容を報告されましたら、それなら淋しいがしょうがないと納得され、故人はすごい人だとあらためて認識したと言われたそうです。
  今までの葬儀は、日本人の大部分が仏教徒?と疑問に思うほど、葬儀の94%が仏式葬で行われ、祭壇等も華美に走っております。故人の遺志、ご家族の気持ち等は蔑ろにされ、故人とご家族が本当に望んでいた葬儀ではなく、葬儀社主導、主体で運ばれるため、葬儀社、寺院が望んでいる葬儀になっていたのではないかと考えます。
  私共は形・規模はどうであれ、本人の意志が反映された葬儀であるべきと考えております。それには本人がしっかりと考え、決め、書き残すことが最も重要なことであると思います。
  しかし、書き残しの存在で全て解決できるかは非常に難しいことです。ご家族は「死」に直面して慌てております。いつの間にか葬儀社のペースにはまり、故人の遺志が生かされていなかったという結果になってしまいます。そういう事を防ぐのが (株)ウィルバンク(遺言・意志銀行)の役目です。
  「遺言ノート」に葬儀等の希望を会員が記入→ウィルバンクが預かり→「遺言ノート」の内容に合わせた葬儀の施行を葬儀社に指示し監督。これがウィルバンクの仕事です。
  葬儀業を併せてやれば、会員の意志を確実に実現できるのではと、よくご助言を頂きます。確かにスムーズに運ぶことと、経営的には非常に楽になるのですが、葬儀社としての動きになり、監理・監督の役目が蔑ろになってしまうと考え、ビジネスとしてはまだ成り立っている状況ではありませんが、今後も葬儀業をするつもりは一切ありあません。
  近年、死や葬儀の話を忌み嫌うことがあまりなくなり、気軽にご家族で、友人間で話せるようになりましたので、葬儀の形態も相当変化してくると考えております。現在のウィルバンクの会員は葬儀をするなら家族だけで、あるいは葬儀をしないというお考えの方たちばかりで、奇をてらうような希望はまだありませんが、今後自分なりの特徴を出した葬儀も出てくるかもしれません。
  ウィルバンクとしては周囲への迷惑を最小にした意志(葬儀しないも意志、盛大にしたいも意志)なら尊重すべきと考え、その方向性は今後も提唱し続けるつもりです。
  高齢化社会に突入し、核家族化しております。夫婦2人も最後は単身者、単身者の方の生き方、死に方が大きな問題となるのは必定です。そんな方たちが安心して生き、死ねる体制づくりを目指して行きたいと考えております。(アパート・老人ホーム・病院等への入居、入院の際の保証人もお引き受けしております)

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