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DATUMS 1998.05
男・おとこ・オトコ

星 建男  男の子育てを考える会事務局長

■ほし たてお
 1949年福島県生まれ。72年から保父として働く。77年「男の子育てを考える会」をよびかけ、88年「アジアの買売春に反対する男たちの会」をよびかける。現在はビル管理業。共著『現代子育て考?、?』(現代書館)、『私と教育』(朝日出版社)、『男が語る家族・家庭』(ドメス出版)、編著『男の育児書』(現代書館)。


  団塊の世代の男たちが学園を出て、社会正義の実現を勤労生活に求めた時、矛盾が立ち現れました。連れ合いから「外では格好いいこと言ってるけど、同じように働いている妻に家事・育児一切を押しつけて何が正義よ」とくり返し批判されたのです。「それはあなたが女だから」と答えたら憲法違反になります。シブシブ慣れない家事・育児に手をつけるとこれが意外に面白い!のです。ヘェ?、何でもやってみるもんだナー。
  というわけで、78年に5人の男たちで正式発足したのが「男の子育てを考える会」。一応目標は「男が主体的に家事・育児に関わることで、つくられたオトコとしての自分をつくり直そう」と掲げましたが、少数者の悲哀をグチで解消する井戸端会議みたいなものでした。
  世間からはパンダのように見られながら、新聞社の「父権」復活の論調に抗議したり、シンポジウム「労働と子育て」などの開催、「都婦人計画」中に“オトコの産休補助休暇”を盛り込ませるべく都庁へ要請行動、新聞の発刊、本の出版、公開講座「おとこの寺子屋」の開催、厚生省への「中絶可能時期の短縮」に反対する申し入れ、「男の家事伝習所」などをやってきました。
  10年ほど前から自分たちの思いや考えを言葉ではなく、リアルな日常を寸劇仕立てにして「子育て」「介護」「男」「性」などの問題を投げかける“オットコ一座”を結成し、寸劇出前公演を始めました。全国キャラバンで各地におもむき、現在125回を数えています。
  87年に出版した、史上初の男のための育児マニュアル本『男の育児書』は好評をえて刷数をふやし、95年に改訂版を出しました。
  おとこの寺子屋も「男はこうしてつくられる」「シリーズ・男の“性”をみつめる」「男たちにとっての“慰安婦”問題とは!?」などを経て、現在第6期「男たちの現在をさぐる」に入り、「父性」「夫婦・家族」「性」をテーマに連続セミナーを開いています。
  何となくダラダラと続けてきたこの会を囲む世間のありようは、それなりに変わってきてはいるようです。けれど性別役割分業や男たちの買春など性のいびつ化は根っこの所でゆらぎもしないままではないでしょうか!? 何よりもこの会がいまだにあり続けていることが異様というべきです。この会は、会自体が必要でなくなるような世の中をつくることを究極の目的としているからです。
  男たちの志向や生き方が現在と違う価値観に変わることを念じながら、発足して21年目に淡々と踏み出そうとしています。当初に取り組んだ「子育て」という課題からテーマは広がって、「男」そのものへのアプローチに会の軸がうつってきています。

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