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DATUMS 1998.05
さあ踏み出そう、ふれあい社会への第一歩を!

蒲田 尚史  (財)さわやか福祉財団社会参加システム推進グループ

■かまだ なおふみ
 1947年兵庫県生まれ、京都大学法学部卒業後、東京海上火災保険(株)入社。大阪支店、本店、海外駐在員等を経て、92年京都本部次長。96年7月より(財)さわやか福祉財団に出向勤務。


  千葉県N市の高齢者を支える市民団体の代表Y氏、奥様が突然のお怪我で入院。家事全般への取り組みを余儀なくされることになったが、早速「ふれあい切符」を利用し、ボランティアの皆様のお世話になられたとか。

  ※ふれあい切符――さわやか福祉財団が提案した愛称で時間預託、時間貯蓄等の制度の愛称。高齢者や障害のある方などに対し、日常生活のお手伝いや介助を有償ボランティアで行った場合、これに伴う謝礼金を受け取る代わりに活動時間を預託しておき、将来、自分自身や家族がサービスを必要としたときにこれを引き出し、サービスを受けることが出来る制度。有償ボランティアというと言葉の矛盾に聞こえますが、ここでいう有償とは労働の対価という意味ではなく、これらに至らない程度の謝礼金という意味で、サービス自体は対価を得ず、無償で提供されていますのでボランティアなのです。やや理屈っぽい話になりましたが、実際のところ、“助けられ上手さん”の少ない日本のカルチャーに合っており、また時間的、空間的にボランティア活動を広めていく手段として有効であるといわれています。

  Y氏は団体でボランティア活動した時間を預託されていたのですが、これが役立ったという訳です。
  現在、日本では約 300の団体がこの制度を採用していますが、今後、ますます広がっていくと予想されます。こうなると誰もが期待するのが「自分がボランティアをして時間を預託し、これをいなかの両親にプレゼントできないものか。」いわゆる、ふれあい切符の広域利用ネットワークです。できるのです、これが。まだ、地域限定、組織内限定ですが。 代表的なものとしては、都内10の福祉公社と9の社会福祉協議会からなる時間預託交換システム、関西圏では市民団体、福祉公社や社会福祉協議会を含む14の団体相互間の広域利用協定等があげられます。
  昨年12月には介護保険法が成立、2年後の4月1日より公的介護保険制度が施行されますが、この制度を成功させるためには、日常生活支援や心のケアを中心として活動するふれあいボランティア団体の存在が不可欠であり、これを増やすには、ふれあい切符や広域利用のネットワーク構築は有効な手段といえます。
  こういうとバラ色の未来が開けているように思われるかもしれませんが、問題がないわけではありません。ふれあい切符の保証性の点です。「将来、自分が具合が悪くなったとき、団体が存在してその援助を受けられるのか」という問題です。理論的には絶対的保証はありませんが、広域利用のネットワークを広げておくとか、ネットワークを結んだ団体がふれあい切符の代わりに受け取った謝礼金を共同で管理するようなシステムをつくるといった方法を採れば、実質的には保証に繋がっていきます。

<閑話休題>
  世のサラリーマン及びOB諸兄の皆様、Y氏(ちなみに同氏は上場企業の役員を経て上記市民団体を立ち上げられた)を見習って、地域の高齢者を支える草の根団体でボランティア活動を開始されてはいかがでしょうか。
  この活動はご賢察の通り、実は「自分のための活動であり、また、あまり大声では言えないのですが山の神からうっとうしがられないため、ひいては熟年離婚を宣告されないための保険」でもあるのです。難しいことはありません。皆様のサラリーマン・ノウハウが役立つ世界です。さわやか福祉財団でも目下、この入門講座を計画中で近日公開予定。乞うご期待!

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