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DATUMS 1998.07
SOHOは労働者? 事業者?

長坂 俊成  (株)住信基礎研究所東京研究本部副主任研究員

■ながさか としなり
 1962年、東京都生まれ。中央大学法学部政治学科卒業。(社)TRON協会を経て、91年から現職。テレワークやSOHOなどのワークスタイルやホワイトカラーの人事労務管理・労働法などの調査研究を担当。


  SOHO(Small Office & Home Office)とは、空間的に小規模なオフィスまたは仕事場としての住宅を意味しますが、そのような場所で働く就業者やそのワークスタイルもSOHOと呼ばれています。
  最近SOHOが注目される背景としては、まず、マルチメディアなどのソフト産業の急成長が考えられます。このような産業分野では、事業の成功には企業の組織力以前に個人のクリエイティブなセンスやアイデアが不可欠となります。そうした人材の労働観やワークスタイルは、一般に、従来型の集団的な人事労務管理を前提とした企業組織には馴染まないと言われています。
  マルチメディア系SOHOは、学生時代に自ら起業するケースや、企業からスピンアウトしフリーランスとなるか独立開業するといったビジネスキャリアが今後増加するものと予想されており、次世紀の産業社会を牽引する主体としても期待が高まりつつあります。
  また、昨今の不況下においては、企業がリストラの一環としてアウトソーシングを進めており、ホワイトカラーの正規雇用労働者が自発的または消極的に請負の自営業者となり企業からスピンアウトする動きが見られます。また、労働者派遣などの非典型雇用が増加する傾向が見られ、そうした中で、テレビ会議システムなどを活用した在宅派遣実験も進められており、高齢者や在宅主婦、障害者等の通勤困難者がネットワークによる分散的な環境で無理なく短時間勤務が可能となり、「ネット・ワークシェアリング」が実現されるものと期待されています。

◆アンケートにみる東京近郊の請負型SOHOの実態
  以下では、当研究所が住宅・都市整備公団の委託調査として、今年の1月にインターネットのホームページ上で実施したSOHOの就業実態と住宅に関するアンケート調査から、自宅で就労している東京近郊の請負型SOHO(原則、当該事業で生計を立てている者を対象とし、非専業の主婦の内職やサラリーマンの副業は対象外)の実態について紹介します。
◆30歳代男性で家族世帯の個人プレー型SOHO
  請負型SOHOの個人プロフィールは、30歳代が5割を占め、7割が男性で、8割が家族と同居しています。SOHOの事業概要は、開業時期が1995年--1997年と、スタートアップSOHOが約6割と多く、業種は5割が対事業所サービスで、年商が500 --1000万円未満が全体の4分の1を占め、6割が従業員を雇用せず本人のみで事業を営んでいます。
仕事の受注形態は、特定顧客の専属下請として受注しているとする者と、幅広く最終顧客から直接受注しているとする者が多く、各々3割となっています。
  具体的な業務内容としては、「取材、執筆、編集、校正」の業務が約2割を占めて最も多く、以下、「プログラミング」「システム設計」「デザイン」「コンサルティング」「翻訳」などの順となり、比較的コラボレーションの必要性が低い業務が多いことが窺えます。
◆SOHO型ワークスタイルを積極的に選択
  SOHOとなった理由としては、「人に指示されず自分で自由に仕事をするため」とする回答が半数近くに及び、「自分の技能・能力を発揮し、より高い所得を得るため」とする回答者も3割と多く見られます。
  回答者の8割は、SOHOになる際に、SOHO型ワークスタイルを積極的に選択しており、9割を超える人が今後ともSOHOを継続することを希望しています。

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