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DATUMS 1998.08
「SOHO CITY みたか」への取り組み
 ――三鷹らしさにこだわり、スピードを身につける


関 幸子  三鷹市生活文化部経済課主査

■せき さちこ
 1956年三鷹市生まれ。法政大学法学部卒。80年三鷹市入庁以来、図書館、企画調整室を経て現在経済課に勤務。その間、三鷹市基本計画、福祉プラン21、産業振興計画の策定に携わる。87年より三鷹市の若手職員、工業者、学者とともに「三鷹市産業政策研究会」を主催し、都市における工業のあり方を模索しながらまちづくりと産業の共生を進めている。共著に『新時代の自治体福祉計画』(第一書林)


  SOHOが見えてきた。
  SOHOとは、「Small Office Home Office」の略で小さい事業所や自宅を仕事場としている人々を指し、この聞きなれない新しい業態の人々がアメリカだけでなく日本経済の救世主としてにわかに脚光を浴びている。そして、現在三鷹市ではこのSOHOに注目し、SOHOを育成・集積させることによって新たな産業振興をめざそうと「SOHO CITYみたか」を提唱しはじめた。ここで「SOHOパイロットオフィス実験」を開始するので、その動きを紹介していこう。
  中央線がハイテクラインと呼ばれているのをご存じだろうか。新宿から立川までの沿線マンションや小さいオフイスに情報通信系、アニメーション等のコンテンツ企業が多く集積している。彼らの多くは、パソコンやインターネットを利用して一人または数人で創業した者、または大手企業をスピンアウトして独立した人々だ。彼らの特徴は、従来の会社中心の考え方ではなく、仕事中心の考え方にたった新しいライフスタイルを模索し、生活と仕事の双方に軸を置き共生を図ろうとしている点にある。
  さて、三鷹市での実験は、派手なハード先行型の構想ではない。市内に敷設された光ファイバー網を情報インフラとして活用し、企業・大学・行政の協力体制を構築することによって起業化を促進し、SOHOの経営活動を支援していこうとするものである。
  具体的には、まずこの実験を推進する主体「『SOHO CITY みたか』推進協議会」を設立する。協議会は、SOHOを応援する情報通信関連企業・大手地元企業、大学、弁護士や会計士等の専門家等の参加を予定し、彼らから、SOHOが抱える様々なハードルを越える技術、専門知識、人脈、仕事等を提供してもらおうと思っている。例えば、マッチングサービスとしては、専門家の紹介、販売促進の支援、ビジネス情報の提供、共同研究の紹介、ベンチャーキャピタルなどの資金紹介などである。こうした一連の動きは、言い換えれば多摩地域に存在する人や技術、企業、機関等の地域資源をネットワーク化する動きにほかならない。
  あわせて、実際にSOHOの集積を促すパイロットオフィス(業務床)を整備する。10--20平方メートル程度のブースを8つ程度設置し、秘書サービス(電話、配達の取次等)、出力サービスなどのソフト支援策と会議室、プレゼンテーション室等を盛り込む計画である。このオフィスは、駅前のビルオーナーや地主へのショールームとしての役割を果たし、民間レベルでのSOHO向けオフィスの整備を誘導していきたいと考えている。
  住宅都市三鷹が、21世紀を目前として都市型産業の振興に力を注ぎはじめた背景には、都市経営の要といえる財政基盤の低下があげられる。三鷹は、緑豊かな住宅都市としての色彩が強いが、一方で航空機産業、自動車産業に育まれた電気・精密機械器具等を中心とした工業集積がある。その工業集積を維持するだけでなく、今後のリーディング産業として期待される情報・通信分野の都市型産業を育成・誘致することで、財政基盤の整備及びまちの活性化につなげていきたいと考えている。
  こうした取り組みのキーワードは、本市の地理的、歴史的、人的状況を充分把握し将来を見据えた「三鷹らしさ」にこだわることであり、時代とともに動ける「スピード」を身に付けることである。

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