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DATUMS 1999.08
若き起業家の可能性

宮城 治男  ETIC.代表理事

■みやぎ はるお
 1972年徳島生まれ。早稲田大学在学中の93年、早大学生有志と起業家サークルをスタート、94年に首都圏10大学の学生と「学生アントレプレナー連絡会議」を発足、代表に就任。96年全国主要10都市に事務局設置。97年「ETIC.インターンシップサポートセンター」設立、同時に学生ネットワークから専任事務局体制の非営利事業体へ組織変革。起業家を目指す若者の支援の他、学生のキャリアデザイン支援、大学等のキャリア教育コンサルティング等を手がける。


  ETIC.は学生の自主的な活動に端を発してスタートした団体ですが、現在の運営の中心メンバーは、私を含め学生ではなく、すべて専任の体制をとっています。しかし、主な事業の対象は、学生を中心とした20代の若者となっています。
  私どもの活動は、1993年、早稲田大学における起業家を目指す学生のネットワークとしてスタートしました。当初は、学生にとっての将来の選択肢として、企業等への就職だけでなく「自ら事業を起こし、新しい可能性を切り開いていく」という生き方もあるということを学生に伝えるということで、主に起業家精神の普及啓蒙のセミナーイベント等を行っていました。
  そこで、学生の関心もさることながら、コンセプトに共感し、協力していただける起業家、行政等の支援機関、専門家の方々の反響が大きく、早稲田という枠を外し、94年に「ETIC.学生アントレプレナー連絡会議」という名称を掲げ、志のある人なら誰でも参加、参画できるインターカレッジ等を開催しました。その後社会的にニュートラルなスタンスのネットワークとしてメディアや行政の間で名前も通るようになり、活動を首都圏、全国へ広げていきました。
  私自身の一番のねらいは、単に起業家を増やすというより、起業家になるべき才能や可能性を持っている人間は起業家にチャレンジできるように、また大企業で活躍できる人、役人で力を発揮できる人などはそれぞれの力を生かせる場所で主体的に仕事に取り組めること、そしてその力を生かし合えるような社会をつくっていきたい、というところにありました。
  そこで97年より、これまでの学生有志のネットワークとボランティア事務局という体制から、私を含め専任事務局体制を始め、できるところから自分なりの壮大な夢にチャレンジしていこうと、責任のある事業を行うNPOとして事業のスタンスを定め、組織づくりとともに事業を進めてきました。以来これまで多くの方のご協力を頂き、今では学生と、特にベンチャー企業、NPOを結ぶインターンシッププログラムや大学と協力しての学生へのキャリア教育の推進、中高生の進路指導プログラムづくりなど、幅広い方向から若者の職業観の醸成や起業家精神の涵養などの事業にチャレンジをし、相応の成果をあげてくることもできました。
  これまでの学生起業家支援等の取り組みを通して、実は私は、日本における新しい起業家精神やNPOの新しい可能性を強く感じています。データにもなっていますが、ETIC.にくる起業家を目指す学生は、いわゆる「アメリカンドリーム」のような一攫千金を狙うというよりは、社会貢献や自己実現を考える傾向にあります。また、独力で道を開き、一方で経営者個人の利益や権益も独占するという「たたき上げ」型よりは、ハングリー精神とスピードにはやや欠けますが、社会全体の利益や新しい価値の創出を目指し、環境問題等も配慮しながら、またビジョンの合う人とはどんどんコラボレーションしていく「NPO的」タイプの人間が目立ちます。また現にETIC.に「自分でNPOをつくりたい」といった相談に来る学生が最近急増しています。このあたりに、若者が作っていく、新しい時代の日本の起業家の姿をみることができるのではないかと期待しています。ETIC.としては若いNPO起業家たちに対し、自らが成功事例としてマネジメントの雛型となれるようチャレンジを続けていきたいと考えています。

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