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DATUMS 1999.08
子どもの未来は地球の未来

斉藤 恵子  ストップ子ども買春の会

■さいとう けいこ
 1965年千葉県生まれ。名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程満期修了退学。日本YWCA勤務を経てストップ子ども買春の会コア・メンバー。ユースフォーラム担当。ストップ子ども買春の会は、今年女性の性と健康にかかわる権利の確立に努めた個人・団体に贈られる「加藤シズエ賞」を受賞した。


  現在、買春やポルノ、性目的の人身売買など商業的性搾取の対象にされている子どもたちの数はアジアだけでも 100万人に達すると言われている。売買され、性搾取にさらされた子どもたちの精神的、身体的損傷は深刻であり、その傷は子どもの一生に重大な影響を及ぼす。子どもへの性的虐待は子どもに対する最も深刻な人権侵害である。
  現代奴隷制とも言われているこの問題を解決するために1996年にはストックホルムで「第一回子どもの商業的性搾取に反対する世界会議」が開催され、各国政府代表、国際機関、NGOが多数参加した。日本は94年に子どもの権利条約に批准しながら、この問題に対する関心は薄かった。会議で日本はアジアへの買春ツアーの送り出し国、子どもポルノ発信地として各国から厳しい非難を受けた。
  ストップ子ども買春の会は92年に発足し、子どもへの性搾取を禁止する法律の制定を求めて活動してきた。会員数は 180名。会の運営はコア・メンバ?数人が担い、必要に応じ団体や個人のボランティアの協力を得ている。「買う側」すなわち子どもを搾取する側の問題、買春の犯罪性や買春を生み出す社会の構造的な問題を強調するため「子ども買春」という言葉を会の名称に使用している。
  活動としては、子どもの商業的性搾取の根絶を目指す国NGO・ECPAT(エクパット・本部:バンコク)の公式連携団体として海外ECPATグループと交流を重ねつつ、国内で関係省庁への要請行動、関係資料の翻訳、シンポジウムの開催、ユースフォーラムの開催などを行っている
  今年5月に「児童買春・ポルノ禁止法」が成立した。当会では今後も法が適切に執行されるよう政府、国会に働きかけるとともに、市民から子ども買春・ポルノなどに関する苦情や相談を受ける「ホットライン」の開設、海外における性的虐待にあった子どもたちの実態調査の翻訳などを予定しているが、この問題の解決にはあらゆる分野の人々の協力が必要だ
  同5月にはスウェーデン大使館で行政の担当者、NGO関係者、旅行業、インターネット接続業者など業界団体関係者を対象にした「第三回世界会議フォローアップ会議」も開催され、今後の取り組みが話し合われた。日本でもこの問題の解決に向けて官民の対話が始まりつつある
  日本が子どもの権利条約を批准して5年、世界会議の開催から3年、児童買春・ポルノ禁止法案が国会に提出されてから1年。道程は決して短くなかったが、国際社会や子どもの人権尊重を訴える多くの市民の声が法案成立をもたらした。明日を担う子どもたちの可能性を十分に開花させることができる社会の実現にはNGOや市民による更なるアクションが不可欠だ。

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