レジャー研1999<東京会場>:基調講演
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旅行流通システムの現状と課題
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講師: 岡本 明雄 氏

日本IBM 運輸・旅行事業推進部主管
マーケティング・マネージメント担当

※岡本さまは、2001年3月に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
■インターネット普及により激変する旅行流通情報システム

―インターネット以前―
  旅行流通情報システムは、アメリカでインターネットによるオンライン・トラベル業者が相次いで立ち上げられた1994年ないし1995年を境とし、それ以前と以後では大きく状況が異なります。
  インターネット以前における旅行流通情報システムには、航空会社を中心に作られたコンピュータ・リザベーション・システム(航空座席予約システム:以下CRS)を代表例に、ホテルや旅行業者、そしてレンタカー会社も独自の予約システムを持っていました。
  CRSは通常グローバル・ディストリビューション・システム(ホテル、レンタカー、クルーズ、鉄道等を統合する在庫システム:以下GDS)につながっており、全世界的な航空通信網であるSITAARINCを介して各トラベルエージェントの専用端末に接続されていたり、旅行会社が独自に持つシステムに接続されていたりします。したがって、当時の大手GDSにとっては、トラベルエージェントへの端末配備数が競争力の源泉だったのです。
  ここで重要なことは、2度にわたるCRS、GDSへの規制が行われたことです。具体的には、バイアスの禁止(1982年)とPC端末の接続禁止に対する規制(1992年)でした。ともにユーザーの使用制限を取り払う内容であり、日本のような多端末現象を回避することにも功を奏しました。いずれにせよ、GDSは利便性という面からも最大の力を持っていたのです。
  一方、こうしてGDSの支配力が強まることに対し、アメリカではトラベル・エージェントと航空会社を中心としたサプライヤーが組み、既存GDSをバイパスし自らのGDSを構築しようとする動きがありましたが(「ジェネシス・プロジェクト」)、航空各社の出資見送りやGDS自体がエージェント寄りの姿勢に転換してきたこともあって、残念ながらこの構想は頓挫すると見られています。


―インターネット以降―
  それではインターネット以降はどうでしょうか――代表的な事例としては、スイッチング・カンパニーとオンライン旅行会社の出現が挙げられます。
  スイッチングカンパニーとは、サプライヤーに代わって在庫情報をGDSへ仕分けしたり、GDSからの情報をサプライヤーにフィードバックする代行業者を指します。消費者との直接的なつながりはありませんが、サプライヤー各社が複数のGDSに接続するためのコストや技術的な負担を解消することで注目され、ホテル在庫情報のTHISCO(現PEGASUS)が代表例です。
  そして、1995年頃にはネット上だけのオンライン・トラベル業者が現れます。既存旅行業者以外の、たとえばマイクロソフトのような異業種グループが参入し、大成功を納めます。こうしたオンライン・トラベル業者の出現により、サプライヤーは消費者へのダイレクトな流通チャネルを持つこととなりました。結果として、GDS側にはオンライン・トラベルエージェントを支配しようと買収の動きが出始めていますし、従来のようにGDSを介在させる必要性が薄れた航空各社はGDSへの出資から撤退し始めることとなります。KLMやUSエアがガリレオから撤退したり、GDSのアウトソーシングが進行するなど、アバカスやインフィニがセーバーに飲み込まれたようにGDSの世界的な再編が進行しています。

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