九地協サマーセミナー2000:パネルディスカッション 
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九地協サマーセミナー2000:博多より、バリアフリーを考える
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■心のバリアフリーを大切に―『希望の翼の会』の活動を通じて

内 藤  鶴田さん、寺崎さんお二人からのご発言からも、マーケットとしての広がりが産業動向を変化させていることがうかがえますが、障害者の旅行意欲を高めてきた背景には、今回の実地検証でご協力いただいたような様々な障害者団体の方々の地道な活動が欠くことのできない要素となっています。そこで、ご紹介が遅れてしまいましたが、樋口さんから『希望の翼の会』をご紹介いただき、その活動を通じて普段感じていらっしゃることをお話いただきたいと思います。

樋 口  『希望の翼の会』は「障害を持つ者と健常者が共に旅行を楽しみ、友情を深め、理論と行動を通じて社会福祉を学び、私たちが動くことにより社会に影響を与え、バリアフリーを目指す」という理念のもと、1989年に発足しました。主な活動として、ニュースレターの発行、2〜3年毎の海外旅行の実施、そして最重度の外出困難な障害者の方も会員には大勢いらっしゃるので、心の自立を目的とした会員同士の交流に何よりも力を入れています。実は、先ほどご紹介があった「福岡県希望の翼」をアレンジされた寺崎さんにお願いをしてニュージーランドとオーストラリアを旅したことが会を発足するきっかけとなりました。当時は障害者が自分だけで旅行できる環境ではなかったので、団体で行けば怖くないという気持ちでお願いをしたのですが、旅行条件は厳しく、何があっても文句は言わないという誓約書を書かされましたし、飛行機にもリフトを使って清掃用の入口から搭乗したという記憶があります。しかし現地に着くと、空港職員が車いす1台に1人の割合で迎えてくれ、初めて人間らしい扱いをされたという気持ちで一杯になり、その後も障害者であることを忘れて楽しい旅を終えることができました。その感動が忘れられずに会を作ってしまったというわけです。
  その後バリアフリー先進国であるアメリカも訪れましたが、そこで唯一自分が障害者であることを意識したのは日本人観光客と出会った一瞬でした。私たちを奇異の目でみる視線を痛いほど感じたからです。実は、私たちが海外へ出かける理由には、こうした人の目を気にせずに遊べるという要素も大きい様な気がします。そこで、皆さま方に一番お願いしたいことは、設備というよりも、やはりソフト面での気持ち=心のバリアフリーを大切にして欲しいということなのです。『希望の翼の会』がホテル選定の基本においているのは、ハンディキャップルームと車いす専用トイレの有無ですが、どちらか一つがあればそれを共同で使うということもできますし、全くない場合でもホテルの方々の協力で解決できたこともあります。また、部屋の椅子やテーブルをあらかじめ壁に寄せていただくとか、タオルや石鹸などを手の届く場所に移しておいていただくなど、さり気ない心遣いが私たち車いすを利用する者には大変嬉しいサービスとなります。そして「何かお手伝いすることがあったら、遠慮なく言って下さい」という一言が、何よりも私たちの緊張感をほぐしてくれるのです。
  障害者用の施設という区分けは私たちも望んでいませんし、増設にはおのずと限界もあります。そういう意味でも、高齢者や妊婦さんも、そして健常者の方々にも喜んでもらえるようなハード・ソフト両面でのユニバーサルデザインの空間を創り上げていただきたいと願っております。

■高齢者・障害者と健常者を旅で結ぶ『あったか旅倶楽部』
内 藤  会場には、同じく実地検証にご協力いただいた『あったか旅倶楽部』の矢野さんがお見えになっています。せっかくの機会ですので、ご自身から活動概要をご紹介願えないでしょうか。

矢 野  私どもは、高齢者、障害者、健常者が一緒になって生き生きとした“心の自立”と暮らしを享受できるよう「旅行」と「インターネット」をキーワードに活動の輪を広げる『NPOいきいきネットワークりんごの夢』(NPO申請中)として活動を開始しました。ご紹介いただきました『あったか旅倶楽部』は、そのなかで旅行をテーマに活動するサークルのような部門でして、添乗員と介護の経験のある私が担当をさせていただいております。
  『あったか旅倶楽部』では、高齢者や障害者の方々で旅に出たい方々と、介助などで旅を支えたいと思っている方々の交流を通じて、すべての人々がいつでも普通に旅を楽しめる環境づくりを目的としています。遠方への旅行企画だけではなく、ホテルへの宿泊、披露宴やパーティへの参加、そして観劇などにも、有料ですがお手伝いをしております。私自身も、どちらが支えられているのかわからないような貴重な経験もさせていただいており、是非多くの方々に参加していただけたらと思っています。ホームページも開設しておりますので是非ご覧下さい。
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