九地協サマーセミナー2000:パネルディスカッション 
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九地協サマーセミナー2000:博多より、バリアフリーを考える
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■行政と産業界のパートナーシップ

内 藤  さて、ソフト面でのバリアフリーについては、ただいまご紹介いただいたような活動への参加や現場での経験を積み重ねがら改善していくこともできると思いますが、複数の方々からご発言のあった交通アクセスの改善については、行政からの支援も重要なポイントではないかと思われます。そこで市議のご経験もある山下さんに、産業界と行政との関わり方についてアドバイスをいただきたいと思います。

山 下  ポイントだけ申し上げておきます。例えば私の場合、航空運賃は25%割引になります。何故かといえば介護者同伴だからです。そして、そこには行政として政府の補助金が入ってきます。ですから業界だけで考えるのではなく、行政に対してどのように訴えかけるかということも業界としてお考えになった方がいい。以前、ある駅にエレベーターの設置について交渉をしたことがありました。その帰り際に車いすごと私を担いでくれた駅員さんが交渉の様子を熱心に聞いてくるんです。つまり、駅員さんにとっても精神面を含めた負担を軽減したいという自らの問題でもある。すなわち、業界自体の問題でもあるわけです。
 アメリカですら先ほどご紹介のあったADA法という法律が実態を創り出させたという面があります。逆に言えば、政治的な活動があってこそ業界も動くし、法律も制定される。そして、そこには補助金が支給される展望も開けてくる。そういう意味で、業界に働く方々も障害者団体の動きと是非同調していただけたらと思います。

■バリアフリーはまちづくりの発想で

内 藤  業界だけで考える問題ではないとのお話が出ましたが、地域ぐるみの活動が盛んな別府ではどのような取り組みがあるのか、鶴田さんからご紹介ください。

鶴 田  確かにバリアフリーというのはホテル業界だけの問題ではありません。障害者の方も健常者のように旅行ができる環境づくりは、宿泊・観光施設や交通機関を含めた地域全体としてのまちづくりに他ならないからです。
 先ほど別府駅の施設改善への取り組みをご紹介しましたが、そうした大がかりな政治的活動ばかりではなく、民間による地道な活動もまちづくりには欠かせません。例えば、今回のような大規模な実地検証ではありませんが、別府にもボランティアが楽しみながらバリアフリーの検証を行える『グレートバリアフリー探検隊』というのがあります。車いす利用者と健常者が一緒になって3ヶ月に1度ほどの割合で検証の活動を行っています。また、別府にはウォーキングツアーで賑わいを見せている竹瓦温泉という公衆浴場があるのですが、この商店街にも私たちがお願いをして共同のバリアフリートイレを設置してもらいました。小さな街ですので10軒に1つでも共同で使えるトイレがあればいいわけです。そんな仕掛けも民間の活動として行っています。そして、最後に一つだけ申し上げたいのは、バリアフリーというとどうしても福祉系の行政部門に目が向かいがちですが、そこでかためてしまうと経済界は動かないということです。つまり、経済界を動かすためにも、行政の商工・観光部門と福祉部門、そして都市計画の3者に上手にトライアングルを組ませてあげないと、なかなかバリアフリーのまちづくりには繋がっていきません。そんなことも是非気に留めておいていただきたいなと思います。
■予約段階での情報把握が、旅の感動を増大させる

内 藤  業界内部にも様々な機関や役割があると思いますが、ユーザーとサプライヤーを繋ぐ旅行業の取り組み姿勢について、寺崎さんはどうお考えですか?

寺 崎  私は『ホスピタリティーワールド』という会社で海外・国内の添乗員派遣事業もやらせていただいているのですが、添乗打ち合わせの時や空港での受付時などに、障害を持った参加者の方がいるのを初めて知るということがよくあります。旅行申込書は健常者を念頭においた様式がほとんどですので、障害者の方でもご自身の状況を書かない、あるいは書けないままお越しになるというお客様もいらっしゃる。サプライヤーとして構えて接する必要はないといっても、現状ではやはり急な対応には限界があります。ですから、予約段階で障害をお持ちの方の状況をいかに的確に捉え、サプライヤーに伝えられるか。旅行会社は、それをシステムとして考える必要があると思っています。それは障害者の方を区分けするという意味ではなく、困っていることを少しでも取り除いてあげることで、お客様により大きな旅の感動を与えることができると思えるからです。

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