九地協サマーセミナー2000:パネルディスカッション 
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九地協サマーセミナー2000:博多より、バリアフリーを考える
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司 会 では、ここで会場からの質問を受けたいと思います。
■樋口さんから、日本人観光客の視線についてご指摘がありましたが、何が違うのか、またその原因はどこにあるとお思いですか?

樋 口  はっきりとはわからないですが、慣れの問題ではないかと思います。教育にしても障害者が隔離されている環境が多く、日本人は日常生活のなかに障害者がいるという風景に慣れていません。ですから見たら相手に失礼だと思い、そのことがかえって不自然な視線として障害者には映ってしまう。逆に、外国の方は、見るときはしっかり見ますし、興味が無いときは目もくれません。しかし、障害者が困っているとわかった時にはすぐに駆け寄ってきてくれる。ですから、障害者がいることが当たり前という環境に慣れているかどうかの問題だという気がするのです。そういう意味で、教育を含め、福祉が様々な分野と統合していく環境ができあがっていかないと、理屈ではなかなか解決できないことがらだと感じています。

■寺崎さんから、予約段階で障害の状況を把握することの必要性についてご指摘がありましたが、プライバシーとの関連性で悩ましい課題だと思うのですが。

■寺 崎  こうしたら聞けますよという結論は持ち合わせていませんが、ユーザーである障害者とサプライヤーであるホテルの双方がスムーズに、また楽しくコミュニケーションをとるためには、聞くことの必要性が優先されていいのではないかと思うのです。アンケート形式でも構いませんし、それこそ現場で実際に接している皆さん方であれば知恵を出し合うことができるのではないでしょうか。

■山 下  私も寺崎さんの意見に賛成です。病歴や障害歴というのは大事なプライバシーですが、宿泊予約に関する事柄はプライバシーというよりお客さんの一ファクターとして捉えていいのではないかと思います。テーブルやベッドを動かすというサービスも飛び込みでは直ぐに対処できません。確かに電話口で「障害をお持ちですか」と聞くことはできないでしょうが、「当方ではハンディキャップ対応をさせていただいております」ということを一般的にアナウンスできる仕組みを考えたらいかがでしょうか。

■樋 口  私は多少考え方が違いまして、やはり来訪時からでも柔軟に対応できるような態勢を普段から整えておくべきだと思います。そのためにも今回の実地研修のように障害者との交流を増やしながら、皆さん自身が車いすなどの対応に慣れるという努力をすることも必要ではないでしょうか。障害者もこういうサービスをして欲しいということは自分からは切り出しにくいことですし、今後の高齢者社会を見据えれば、特別なことではなくなるのではないかと思います。

■山 下  確かに樋口さんのおっしゃるように、予約段階での申し入れは少ないかもしれませんね。私自身も介助者と2人で動きますから、自分は車いす利用者だと申し出たことはありません。しかし、ホテルの方々も感情論で考えてはだめです。プロであるなら聞きづらいこともうまく聞き出すソフトをマニュアルとして考えた方がいいと思います。

■鶴 田  私の経験では、逆にお客様の方からお申し出がある場合がほとんどですので、あまり戸惑ったこともないのですが、タクシーを降りるなり「車いすを貸して下さい」というケースが最近高齢者の方々に多く見受けられるようになりました。ですから、車いすは玄関口でもすぐに出せるような態勢にしています。ただ、山下さんがおっしゃるようなプロとして「うまく聞き出す」テクニックというのは身につけていませんね。大変難しい問題だと感じました。

□内 藤  会場の方で、この件に関してご意見はありませんか?

□参加者  今までのお話をうかがい、心の部分でお互いが言いたいこと、お願いしたいことがいくつもあるんだな、ということを痛切に感じました。そういう意味では、私たちもできる限りのサービスはさせていただくという心づもりでいますので、どんどん注文をつけていただきたいと思います。私たちも「何かお申し付けになることはございますか」という質問を投げかけて、お客様の反応を受けてから対応するという捉え方をしています。

■寺 崎  私自身ハワイで経験をしたことですが、様々な問題点を事細かくホテルに伝えたところ、笑顔で「全部できる」と応えてくれました。何ができるではなく、すべての事柄に対処しようとしてくれるホスピタリティで、難しいことにも努力を惜しもうとはしない。しかし一方で、重度の障害をお持ちの方には安全性を重視して、オーシャンビューではなく敢えてエレベーターホールの周りに部屋を配置したり、コネクティングルームへの部屋割りを優先したいというホテル側の要望も伝えてくれました。双方が互いに伝えるべきことは伝えるという関係は、おっしゃるとおり大切なことだと思います。
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