レジャー研2000<東京会場>:パネルセッション
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国際旅行市場から取り残されるな!
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□パネリスト
  田中 五十一氏 (国際観光振興会:JNTO観光交流部長)
  張 紀潯 氏 (日中経済発展センター理事長、城西大学助教授)
  飛田 克夫 氏 (ジャパニーズイン・グループ会長)
  宮坂 英明 氏 (レジャー・サービス連合産業政策局長)

司 会
  内藤 義治 (RIC事務局長)


司 会  インバウンド市場は刻々と変化しており、私たち観光産業に携わる者であっても、その現状については知っているようで意外と知らないというのが実態ではないでしょうか。第一部のお話にもあったように、単に外人客という一括りな捉え方ではなく、マーケット対象国毎に異なる文化や気質、さらには日本という訪問地に求める内容を把握する必要があります。その上で、官民挙げての取り組みを考えていかなければ、インバウンド市場では勝ち残れないでしょう。奇しくも、昨日の新聞等で、9月から限定的ながらも中国からの団体観光旅行が解禁されるという報道がなされました。そこで本日は、注目度の高まる中国市場をケーススタディとして取り上げ、インバウンドのマーケティングには豊富なご経験をお持ちである国際観光振興会の田中部長、中国ご出身で日中交流に尽力されている城西国際大学経済学部の張助教授をお招きし、基調講演を頂いた飛田社長とレジャー・サービス連合産業政策局長の宮坂さんにもご参加頂きお話を伺いたいと思います。
  まずは田中様に国際観光の展望と日本の置かれている現状についてお伺いいたします。


■国際観光市場では発展途上の経済先進国『日本』



田中五十一氏

講師: 田中 五十一 氏

国際観光振興会・観光交流部長
田 中  私どもJNTOは国際観光振興法に基づいて設立された特殊法人で、日本の政府観光局として海外に日本の魅力を発信し外国客を誘致するという役割を担っています。具体的な事業は、海外における様々なキャンペーンや宣伝活動と、国際コンベンションの誘致や開催支援、国際観光交流のための支援という3つを柱に展開しております。現在国内には東京と京都に観光案内所を設置するとともに、海外14都市に事務所を置き、プロモーション活動を行っております。
  観光産業が21世紀の基幹産業と言われて久しくなりますが、最近は日本でも特にインバウンドというものに注目が集まっており、JNTOの活動にも追い風が吹いている状況です。これは数字にも如実に現れており、現在世界のGDPに占める観光産業の割合は11.7%、全雇用者数の12人に1人が観光産業に携わっていることになり、まさに基幹産業と言えるでしょう。では国際観光はどうかと言うと、WTOによれば2020年までには国際観光到着者数は年平均で4.3%増加し16億2百万人に、国際観光収入では年平均6.7%増え、2兆ドルとなると予測されています。とりわけ東アジア・太平洋地域は有望な地域と見られています。
  次に日本のインバウンドの概況です。昨年99年に日本を訪れた外国人は444万人でした。WTOの97年の資料によると、各国の受け入れ外国旅行者数では世界で32位となります。一方出国日本人数は1635万人ですからその比はおよそ1:4という状況で、経済大国日本は国際観光では小国ということになります。自動車や電化製品の輸出により、世界にハイテク先進国としてのイメージを確立しているわけですが、実際に日本を見に来てくれた人の数では、アジアの中でも後進の立場にあるということです。
  訪日送客先を見ると、98年は経済危機の影響により韓国からの渡航者数が減少したため、台湾が1位、韓国が2位となりましたが、99年は韓国からの渡航者数が94万人となり、再び1位となりました。今年は100万人を超えることは確実な状況です。この他香港や中国も上位にランクされています。香港が98年に35万人で4位となったのは一時的現象で、香港の中国返還の際にホテルの宿泊料が高騰し、観光客が香港を敬遠した結果航空座席が埋まらず、航空券価格が大幅に下落し、香港からの観光客が増えたことに起因しています。したがって、99年には10万人も減少し、今年はさらに落ち込むと見られます。いずれにしても訪日外客の60%以上がアジアからという特徴が現れています。ただし、見逃してはならないのがアメリカで、98年・99年ともに3位にランクされる70万人近い訪日客マーケットで、JNTOとしても最重要マーケットと位置付けています。
■腰の重い日本の観光業界
  こうした状況を見ると、積極的に日本を海外に宣伝していく必要があるのですが、それには旅行商品の提示が不可欠です。もちろん旅行業サイドでも商品は作ってますが、インバウンドの最前線にいる私たちにしてみれば、あまりにも価格が高すぎる。そういう意味で、ジャパニーズインは海外でのセールスにすぐに使える商品を提供してくれたのです。確かに日本からのミッションを派遣し、セミナーなどで日本の魅力を宣伝することは重要です。しかしそれ以上にJNTOとして最も力点を置きたいのは、海外エージェントを招聘し、日本のホテル・旅館・観光施設・エージェントと直に商談をしていただいて、価格的にも魅力ある商品を提供していただくことです。
  基調講演のお話にもあったように、海外からのお客様は、日本に来たら日本旅館に泊まりたいというニーズが多く寄せられます。国観連や日観連とも協力しつつそれに応えていきたいと考えておりますが、なかなかスムーズには事は運びません。3月31日より観光情報システムによる情報発信をしており、国観連の加盟旅館も掲載すべく事務局と相談しています。事務局サイドは全加盟メンバーを登録するよう求められますが、いざ個々の旅館に伺うと「外国語では応対に困る」「外国人は手がかかるだけで商売にはならない」などと二の足を踏むところも少なくないのです。JNTOとしては旅館の方々にどのようにインバウンドに目を向けていただくかが悩ましいところです。
■発想を転換しアクションを
  現在JNTOの予算は全額国から支出されるのではなく、例えば海外プロモーションでは9割が国からの補助で、1割は自己資金を確保しなければなりません。国際交流事業は国からの補助が5割、自己資金5割となります。「ウェルカムプラン」の目標を2005年に800万人に上方修正したように、現在インバウンドへの期待が高まっており、JNTOへの配分予算も毎年増額されてきている状況です。しかし、その予算を執行するには、自己資金を確保しなければならないのです。
  今年、官民挙げてインバウンドに取り組むために観光産業振興フォーラムが立ち上げられましたが、それに留まらず、資金を集める仕組み作りのためにも、広く異業種なり経済団体までその動き押し広めて頂きたいと思います。もし可能であれば、レジャー・サ―ビス連合を中心とし、エージェントやホテルにも参加していただきコンソーシアムを組んで、ウェルカムプラン対応商品を造る動きにしていただけたらと思います。発想を変えて頂ければ、プロモーションの計画に1割の資金を用意していただければ、残り9割は国から補助資金として引き出すことが容易になっているのです。なかなか皆さんそういう発想に立っていただけませんが、例えば九州の地方観光協議会では昨年800万円を集められ、8000万円のプロモーションをされました。今年はさらに1500万円を集金するようです。
  『新ウェルカムプラン』は官民挙げて日本滞在費の低廉化を図ることを謳っています。国だけとか、業界だけとかが個別にやってもうまくはいきません。官民協力して知恵出し合いながら実現に向けて取り組む必要があると思います。
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