レジャー研2002:基調講演
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生活者の今を、「価格」で斬る
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林光氏


講師: 林 光 氏

博報堂生活総合研究所
主席研究員

□プロフィール
  博報堂入社後、博報堂総合生活研究所に。現在、主席研究員。主な研究領域は、消費社会論、生活者動向予測、生活者価値分析、団塊世代分析、自動車の文化と生活など。東京都高度情報化委員会委員、通産省産業構造審議会流通問題検討委員会委員の他、埼玉大学教養学部、明海大学経済学部、東京大学社会情報研究所などで非常勤講師を歴任する。
  『タウンウォッチング』『「五感」の時代』など多数の共著等がある。最新刊は『職人技を見て歩く』(光文社新書)。




■鍵を握る「生活者」の視点

  博報堂生活総合研究所(以下、博報堂総研)では毎年調査年報を発行していますが、昨年のテーマは『4つの価格〜価格に関する30の生活者法則』としました。「価格」そのものというより、その「価格」という手段的プロセスを通じて、その根底にある生活者の心理や行動原則を探ってみたということです。本調査の概要をご紹介しながら、本日のテーマである『生活者の今を、「価格」で斬る』について、お話をさせていただきます。
ここで本題に入る前に、価格にまつわる調査でありながら、何故「消費者」ではなく「生活者」なのか――若干その背景について触れておきたいと思います。
  ご存じのように博報堂は広告会社ですが、70年代半ば頃を境とした、いわゆる高度経済成長期とそれ以降では、広告を取り巻く環境が大きく様変わりをします。生活者の水準が未だ不満足な水準にあって、欠けているモノやサービスが豊富にあった時代には、つくるモノや適正価格は商品の送り手には最初からわかっていることでした。しかし、生活水準がかなり上昇した70年代後半以降になると、生活者の情報水位もかなり高くなってきます。例えば旅行に関する情報でも、多くの人々が国内はもとより世界各国へ出かけ、様々な宿泊施設に泊まる。あるいはホームステイや語学研修のようなたかちでロングステイを経験したりする。そういった多くの経験を積み重ねていった結果、送り手と受け手側の情報水位の差が縮まり、領域によっては受け手側の方が情報を持っているといったケースも増えてきました。つまり、何をつくるかではなく、人々は次に何を欲しがるのか、どんなことをしたがるのかといったことを先んじて知ることが企業活動を行う上で非常に重要になってきたということです。ここで忘れてならないのは、人々の生活はあまねく全てが消費ではない、ということです。むしろ消費というのは生活のほんの一部であって、実際にはその消費行動によって得たモノやサービスをどのように利用・遂行しているかが大きな意味を持ってきます。一つのモノやサービスであっても、そうした生活者の様々な側面を総合的に捉えて開発をしていかなければならない――企業活動のお手伝いをする博報堂が、“生活者の研究をする研究所”として、80年代初頭に博報堂総研を設立したのも、まさにそのような理由があったからなのです。



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