レジャー研2005:プロジェクト体験ツアー・レポート
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実践!ウォーキング・ツアーのポイント

最後にして、レジャー研デビューしちゃいました

早嶋 泰司

RIC 事務局次長



■はじめに

 今回、当プロジェクトでは研究内容の実践として、プロの通訳ガイドであり、また「SQUARE」誌の連載記事「楽しく分かるニッポン通訳案内」をご執筆中の中山幸男さんに案内して頂き、外国人観光客のウォーキング・ツアーを体験してみました。
 場所は目白の椿山荘周辺と赤坂界隈です。普段なら何気なく通り過ぎてしまう場所も、人が介在することで新たな発見が生まれてくること。そして、知っていると思っていたホテルの周辺地域を実はあまりよく知らなかった、あるいはそんな視点で見ることもできるのかといった意外性に気付かされました。
 そこで今レジャー研では、どんなものが観光資源となりうるのか、またどんな案内をすれば興味を持って貰えるのかについて、いくつかのキーワードをもとにまとめてみました。
 多少、スポットの説明になってしまう部分もありますが、同じような素材が自分のホテルの周辺にもないのかという視点でお聞き頂ければと思います。

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 東京は坂が多く、それぞれに名前が付いているのが特徴的です。その名の由来によっては、東京の昔の姿をイメージできるものもあります。たとえば、そこから海が見えたことが由来の「潮見坂」や、富士山が見られた「富士見坂」などです。
 
写真@は赤坂の『南部坂』ですが、年末の風物詩である「忠臣蔵」の名場面「雪の別れ」の舞台でもあります。このエピソードを詳しく紹介することができれば、普通の坂にしか見えないこの坂も、情感たっぷりに眺めて貰えるようになるのではないでしょうか。

※左の写真はクリックすると大きくなります(以下同じ)。
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 公園をはじめとして、都心にも以外と多くの緑があります。震災・戦災を免れた古木などを紹介すれば、超高層ビルばかりで無機質という東京のイメージを、良い意味で裏切る≠アとができるでしょう。
 写真Aは雑司ヶ谷にある『鬼子母神堂の銀杏』ですが、樹齢600年の巨木で東京都指定の天然記念物です。この木を題材にして「銀杏は東京都の『都の木』であり、都のシンボルマークも銀杏の葉の形をしています」などと説明することも可能です。
 写真Bは目白の『新江戸川公園』です。庭園の多くは無料で解放されており、こういったスポットは、外国人には非常に喜ばれます。「無料」は是非憶えておきたいキーワードでしょう。公園内は都会の喧噪から遮断されるため、休憩スポットにも最適です。
 また、日本庭園に見られる「亀」「滝」などを模したオブジェ(写真CD)には、それぞれの配置に日本文化特有の意味があるそうです。このようなことは誰かに解説されないと全く気が付かないで通り過ぎてしまいます。知識豊富なガイドと一緒に見て回ることで、理解が深まり新たな興味が呼び起こされます。


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 神社仏閣は、説明に工夫がなければ単なる昔の建物≠ノなってしまいかねません。神社やお寺が現代の生活とどのように結びついているのか、たとえば「初詣」、「お宮参り」、「七五三」など、日本人は人生の節目で利用しているなどと説明すれば、外国人にも理解されやすいでしょう。
写真Eの『赤坂・氷川神社で』は、丁度結婚式が行われていました。偶然でもこういった場面に遭遇できればラッキーかもしれません。
 写真Fは、日本三大稲荷の一つである豊川稲荷の別院の『赤坂豊川稲荷』です。たくさんの「のぼり」には、場所柄でしょうか、芸能関係や飲食業と思われる企業の名前が数多く書かれていました。ビルの屋上に鳥居を置く会社があるように、お稲荷さん≠ヘ広く産業全般の神として崇められています。ですから、こういった場所は『縁起担ぎ』を重視する日本人特有の宗教観を説明するのに格好の場所と言えるのではないでしょうか。
 写真Gは赤坂の『浄土寺』の「地蔵菩薩」です。
 日本人の中にも「神社とお寺の違い」や「お地蔵さんと仏像の違いは何なの?」と改めて問われると、ちゃんと答えられない人は多いのではないでしょうか。しかし、このような基本的な疑問に対する答えは、ガイドブックにも案内板にも意外と載っていません。ですから、神社仏閣巡りにおいては、総合的に解説できるガイドの存在はとても大きいものです。



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 誰もが知っているような歴史上の有名人ゆかりの地も外せないスポットです。
 たとえば、赤坂は勝海舟が生涯の大半を過ごした土地です。写真Hの『勝海舟邸跡』の碑の立つ場所には、彼が最も活躍した時期でもある36歳から45歳までの10年間住んでいたそうです。
 しかし、残念ながら当時を偲ばせるものは何も残っていないため、こういった話をどれだけ興味深く説明できるかがガイドの腕の見せ所と言えるでしょう。



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 日本人が普段何を食べているのかも外国人にはとても興味のあるところです。
 また、ウォーキングならではの「食べ歩き」が魅力の一つとなります。外国人は初めて見る「ジャパニーズ・スウィーツ」も、意外と平気にチャレンジするそうです。
また、日本人は魚をよく食べますが、外国人に魚の名前を説明してもなかなかピンと来て貰えません。そんなときは、「百聞は一見に如かず」で魚屋(写真I)に飛び込んで、実際の魚を目の前に解説するのが一番です。さながら、ミニ「築地の魚市場」といったところでしょうか?
 写真Jは赤坂豊川稲荷の参道前にある「お茶屋」です。参道に「お茶屋」が残っているのは全国的にも珍しいそうです。何とも表現しがたい味わい深い雰囲気が印象的でした。
 これ以外にも『たい焼き屋』(写真K)『うなぎ・焼き鳥』(写真L)『駄菓子屋』(写真M)などが見られます。写真Mは、こんな具合に気軽に食べ歩きを楽しんで下さいという見本です。


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 達成感をくすぐる「疑似スタンプラリー」的要素や、「○○めぐり」的にスポットをルーティングしてあげることも、忘れてはなりません。
 たとえば、写真Oは定番の『七福神めぐり』ですが、 都内に限らず同じ敷地内だけで全ての七福神巡りが出来る場所は、この椿山荘だけだそうです。しかも、それぞれの神様の説明には、現代人向けに分かりやすく「何に御利益のある神様なのか」が書かれています(写真P)。ところが、英語の解説文は教科書的な解説しかないので、やはりこういったところでも現代人向けに翻訳してあげるガイドの存在が欠かせません。


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 特に有名スポットではなくても、日本人の生活感がある下町の雰囲気が外国人にはウケるようです。
 写真Qは、赤坂で見掛けた民家です。まるで昭和初期にでもタイムスリップしたかのようです。玄関前の鉢植えの植物(写真R)は、庭がなくても楽しめる「ストリート・ガーデニング」といったところでしょうか。銭湯(写真S)は、これぞ庶民文化の醍醐味と言えるものでしょう。

 以上、7つのキーワードで見てきましたが、もちろんこれで全てを網羅しているわけではありません。しかし、この様な見方で改めてホテルの周辺を歩いてみるだけでも、きっと新たな発見があるでしょう。皆さんのホテルの新たな魅力作りに役立てばと思います。



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