レジャー研1995<湯河原>:講 演
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根本祐二氏

講師: 根本 祐二 氏

日本開発銀行設備投資研究所
主任研究員
マルチエンターテイメント・ビジネス
   ――テーマ・パークを超える新産業
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  テーマ・パークが持っている「人をもてなす(エンターテイメント)」ための技術を、テーマ・パークを超えて他のビジネスにも応用できないだろうか。「人をもてなす」ことを必要とする分野はホテル、商業施設、医療、教育、オフィス等と、およそ世の中すべての分野にあります。このような分野での応用の可能性を探るために、テーマ・パークの持つ「人をもてなす」技術について、アメリカにおけるいくつかの事例を紹介してみましょう。




■映画とテーマ・パーク

  アメリカに限らず世界中のテーマ・パークは、映画会社が経営しているものが非常に多く、これが支配的な傾向となっています。映画会社の配給シェアからみた上位4位は、ディズニー(ブエナビスタ)、タイムワーナー(ワーナー・ブラザース)、MCA(ユニバーサル)、パラマウントの順であり、各社はそれぞれディズニーランド(他にもディズニーワールドなど)、シックス・フラッグス・チェーン、ユニバーサル・スタジオ、キングス・チェーンというテーマ・パークを経営しており、テーマ・パークのシェアも同じ順位となっています。
  テーマ・パークの評価のポイントは、きれいなデザイン、うまい演出、魅力的なキャラクター、面白いストーリー、華やかなコスチューム、照明の技術、派手な特殊効果やスタントなどにあります。このような技術はテーマ・パーク産業が独自に生み出したものではなく、映画産業が開発した基礎技術を応用して生み出したものなのです。
  このような理由から、映画会社はテーマ・パークを持とうとするのです。テーマ・パークは映画会社にとって手軽にできる多角化部門であり、それゆえ、世界最大の映画製作大国であるアメリカが世界最大のテーマ・パーク大国にもなれたというわけです。
  ディズニーを例にとれば、ミッキーマウスというキャラクターは20年代から映画の主人公として親しまれてきました。テーマ・パークが誕生したのが55年ですから、この間30年間にわたってキャラクターを育ててきたということです。このようにして認知されたキャラクターだからこそ、ディズニーランドの主人公としてミッキーマウスは受け入れられたのです。
  そしてミッキーマウスのように映画やテーマ・パークで知名度をあげたキャラクターは、キャラクター・グッズとして商品化されます。『ミッキーマウス』という一つの商品を映画、テーマ・パーク、キャラクター・グッズという3つの手法で販売するという、メディア・インテグレーション・ビジネスに成功したのです。
  また、ディズニー・MGMスタジオの人気アトラクション『スター・ツアーズ』は、映画『スター・ウォーズ』にシミュレータというテーマ・パークの技術を導入して成立しています。このシミュレータは、単に動きの激しいシミュレータということではなく、人気映画を背景としたテーマ・ライドとして大きな人気を得ているのです。ユニバーサル・スタジオのアトラクション『バック・トゥ・ザ・フューチャー・ライド』も同様で、人気映画からそのストーリーを提供されているということが重要なのです。
  ディズニーの映画『美女と野獣』は、テーマ・パークのなかではショーとして取り入れられ、キャラクター・グッズは全世界的に展開しています。その後、『美女と野獣』はディズニーが初めて本格的なブロードウェイ・ミュージカルに進出した歴史的作品となり、ロング・ランを続けています。このように複合的に事業を展開するのがアメリカのテーマ・パーク・ビジネスなのです。
  ハリウッド映画の制作費は年々高騰の傾向にありますが、メディア・インテグレータたちは、このようにして膨れ上がった制作費を回収しています。アメリカのテーマ・パークはこうした巧妙なメカニズムの上に成立しているといってよいでしょう。

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