レジャー研1995:パネルディスカッション 
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高齢社会のサービス・ニーズと課題   ……Page:1>>>




□パネリスト
 山田 紘祥 氏 (財団法人余暇開発センター研究主幹)
 斉藤 明子 氏 (全国自立生活センター協議会常任委員)
 大社 充 氏 (エルダーホステル協会東京事務所長)

□司 会
 内藤 義治 (RIC事務局長)



司 会  日本社会は21世紀初頭には4人に1人は65歳以上の高齢者になるということが予想されているなど、世界でも最も早いペースで高齢化が進んでいます。今回のシンポジウムでは、このような急激な環境変化がもたらす様々な社会現象のみならず、高齢社会においてわれわれの産業に求められるサービス、あるいは産業が果たすべき役割について考えてみたいと思います。
  さて、この5月に発刊された「レジャー白書」の中では、余暇をどのように活かすかというテーマが豊かな高齢社会をつくっていくための一つの重要課題だということが指摘されていますが、まず最初に、現在の高齢者層、あるいは次期高齢者層と言われる年齢層の「余暇意識・余暇動向」について、山田様にお伺いしたいと思います。



山田氏

講師:山田 紘祥 氏

余暇開発センター研究主幹
■山 田  高齢化社会の到来が言われていますが、わが国65歳以上人口が全人口に占める比率は、1995年現在14%を超え、既に「高齢社会」に入っているというのが大方の認識です。今年の「レジャー白書」では、特別レポートとして、アンケート調査をもとに現在のシルバー層(一応60歳以上とする)の余暇意識や余暇の過ごし方の問題点を探るとともに、40?50代のプレシルバー層のより豊かな高齢期を迎えるための問題意識にスポットを当ててみました。
  
まず、シルバー層にとって余暇時間はどのような時間なのかという点ですが、日本人全体と比較して男女ともに高い位置づけを与えているのが「自然と親しむ時間」と「健康の維持や体力増進のための時間」です。一方、「知人・友人と過ごすための時間」や「一人でのんびりできる時間」については、男性に比べると女性が特に高い比率をあげているのが特徴です。このことは、家族志向の強い男性と、現実への反動で脱家族志向が強い女性との意識のずれを表していると言えます。
  次に具体的な「日頃の自由時間の過ごし方」について見てみますと、全体結果では、「休養・くつろぎ」「友人・知人との交流」「家事、身の回りの用事」等が上位を占めていますが、60歳以上の男性が全体より高い比率を占める項目は非常に少ない。高いのは、「仕事の付き合い」「ボランティア、社会活動」そして「家庭菜園、趣味としての農業」のみです。また、女性については「知人・友人との交流」「学習、習い事、研究」が高く、「学習、習い事、研究」では60
代男性の倍近くになっています。しかし一方では、「家事や家族の世話や相手」が全体平均を大きく上回っており、友人・知人との活発なつきあいを楽しんでいる反面、まだ家族や家事に縛られているという側面が伺えます。
  さらに自由時間の使い方についての今後の希望をみてみますと、現在のシルバー層(特に男性)はほとんどの項目で全体平均に比して希望率が低く、余暇を楽しむ志向が非常に弱いことがわかります。"
余暇資源”と言われるものには「健康」「自由時間」「人間関係」「余暇能力」「経済力」がありますが、中でも「余暇能力」と「人間関係」の2つの余暇資源の蓄積度の低さが、このような結果となった要因であると思われます。
  プレシルバー層、つまり40代、50
代の余暇意識についても、現在の時間意識は「家族と過ごすための時間」が男性に強く、逆に「一人でのんびりできる時間」は女性が強いなど、先に指摘したシルバー層と同様男女間にギャップがあります。
  注目されるのは「今後の希望と現在との差」です。いわば時間に対する未実現の願望、或いは潜在需要とも言える内容ですが、特に女性の構えがはっきりしている。彼女たちは、場合によっては知人・友人や家族と過ごす時間を減らしても、「健康」や「自分の能力を高める」ための時間、「ボランティア」のための時間、さらに「自然」「芸術・音楽」「趣味やスポーツ」を楽しむ時間を増やしたいという、自分の余暇時間を積極的に使おうという問題意識を強くもっていることがわかります。そういう意味では、これからの高齢社会のレジャー・マーケットの一つの傾向としては、女性主導のマーケットの時代とも言えるのですが、「高齢者層がマジョリティとなる社会」を考えるに、むしろ多様化・多極化の傾向は避けられない。つまり、経済力、健康状態、趣味の範囲、学歴、家族志向など、様々な領域にわたるマーケット・セグメンテーションが非常に大事になってくると思われます。いずれにせよ、40代、50代のこれから高齢期を迎える階層の男女の余暇志向・レジャー志向は非常に積極的であると見ています。


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