レジャー研1997:パネルディスカッション 
TOP >> SEMINAR >> レジャー研 >> 1997パネル

新たな観光サービスの可能性を探る
……Page:1>>>>


小林俊介氏


講師:小林 俊介 氏

アースウォッチ・アジア
設立準備委員会事務局長

□パネリスト
 小林 俊介 氏 (アースウォッチ・アジア設立準備委員会事務局長)
 大社 充 氏 (エルダーホステル協会専務理事)
 森下 薫 氏 (近畿日本ツーリスト堂島支店販売課長)
 栗林 泰夫 氏 (レジャー・サービス連合中央執行副委員長)

□司 会
 中村 達興 (RIC事務局次長)


司 会  「人が動くとき、集まるところにビジネスチャンスあり」と言われてきた観光産業ですが、既存の演出だけでは旅(ツアー)の魅力もマンネリ化しつつあります。また、観光の多様化が確実に進んでいる現実を知りながらも、業界固有の観光事業観念から脱しきれず、新たな人の動きを直視していない側面があるのかもしれません。
  そこで今パネルディスカッションでは「環境」「生涯学習」「バリアフリー」等の領域で活躍されている皆さまから、観光産業の中心的マーケット以外で、「観光」が手段としていかに有効活用されているのか具体的事例をご紹介いただくと同時に、活動を事業として成立させていくうえでの課題などをうかがいながら、わたしたちの産業との接点を探ってみたいと思います。
  まず小林さま、大社さまより、現在の活動内容をご紹介ください。



■野外調査の研究者とボランティアをつなぐアースウォッチ

小 林  アースウォッチは1972年、アメリカのジャーバード大学とスミソニアン博物館の関係によって設立された非政府組織(NGO)です。その活動は、地球上の生物の多様性、生活の質に影響を与える生態系の変化など、地球に対するわれわれ人類の理解の向上を目的としております。
  活動の特徴は、その目的のために野外調査を行っている研究者・科学者に資金的な援助を行うと同時に、世界からボランティアを募集し、人的資源も提供することです。設立以来、120カ国で約2000件ほどのプロジェクトを行っています。ボランティアとして延べ500万時間の労働力を提供し、約35億円の貢献をしたことになります。アースウォッチ・アジアは、その活動を日本およびアジア地域に広げようという目的で、1992年に設立準備委員会を発足して現在に至っております。現在、会員は日本人だけですが1100人で、そのうち200人以上の人たちが海外のプロジェクトにボランティア参加しております。会員の75%が女性でそのうちの80%は20代から30代の人たちです。ちなみにアースウォッチ全体としましては、世界にいま85,000人ほどの会員がおり、年間約4,500人のボランティアがフィールドワークで研究者をお手伝いしています。
  アースウォッチが支援しているプロジェクトは、野生動物の行動や管理、海洋ほ乳類類学、珊瑚礁や熱帯雨林、発展途上国の子どもや女性の健康管理、文化と伝統、考古学など多彩です。参加者はこれらのプロジェクトに、フィールドで毎日研究者の助手として動物の行動または足跡の追跡とか、遺跡の発掘などを黙々と行います。これら調査・作業そのものは非常に単純なものです。しかし、単純な作業で得られるデータというのは、実は研究者にとっては大変大きな財産になります。そこで得られたデータをもとに、成果を論文で発表したり学会で発表したりします。その発表が、われわれ人間と自然との共生、地球そのものの理解の向上に役立っているのです。また参加者にとっては、体験学習・生涯学習の場、または環境教育の実践の場として、地球が変化しているところに自ら入っていって、自分の目、手、足、身体全体で体験するという、かけがいのない機会を得ることができます。各人がそこで得た体験を自分の生活や仕事で活かすと同時に、私たち一人ひとりがこの美しい地球を次の世代にきちんと残すための重要な担い手であることを認識していただきたいと思っています。
NEXT >>