レジャー研1998<大阪会場>:パネルセッション
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都市の魅力を再発見
  −集客・交流都市“大阪”へジャンプアップ

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□パネリスト
  橋爪 紳也 氏 (京都精華大学人文学部助教授)
  金子 仁久 氏 (コンサルティングオフィス・フォーメイション代表)
  奥野 卓治 氏 (関西学院大学社会学部教授)

□司 会
  内藤 義治 (RIC事務局長)


司 会  今パネルディスカッションでは都市の魅力――特に、集客・交流都市としての在りようにスポットを当ててみることにしました。ウェルカムプランに象徴されるように、低迷のつづく国内観光地の活性化をはかる上で、観光と地域の共生は重要な課題となっています。まずは、地域の魅力を引き出しながら産業を活性化させていくにはどのような視点が必要なのか。「都市計画」「集客都市におけるホテルの役割」そして「情報」といった観点から課題提起をいただきたいと思います。

橋爪氏

講師: 橋爪 紳也 氏

京都精華大学人文学部助教授
■観光資源として再生を図る商店街

橋 爪  皆さん、『大仏商法』という言葉をご存じでしょうか。奈良には、東大寺の大仏がある限り観光客が絶えることはないだろうといった認識が、地元の各業界に少なからずあるのだそうです。ですから、土産物にしても「京都のおたべ」の売上げが伸びていれば問題もなく、奈良独自の品物を持ち帰ってもらおうとは思わない。奈良県では、近年、このような商法から早く脱皮し、訪れる人々をいかにもてなすかということが盛んに議論されています。実は大阪もよそごとではありません。今後『ユニバーサル・スタジオ商法』や『オリンピック商法』といった、一つの大きな集客力のある施設やイベントに頼るような発想が強くなるかも判りません。それが、この町にどのような影響を与えるのかを考えてみたいと思います。
  例えば新しく生まれ変わった京都駅は、確かに集客力という点では優れています。しかしビルの中に一つの町をつくってしまったような状態となり、その大きな集客力が逆に周辺の町を非常に痛めつけているというのが現状だと思います。温泉町の大型の豪華旅館や複合化した都市型ホテルも同様な状況を生み出していると言えるでしょう。つまり、集客施設をつくったら町全体の観光客が増えるかというとたぶんそうではない。それと相乗する周辺の町の面白さを引き出すようなやり方でないといけないということです。
  そういった「集客力ある施設」と「周辺の町」、あるいは「観光客」と「一般客」との関係性のなかで可能性を示しつつある例として、いま是非注目していただきたいのが商店街です。新聞紙上でもよく取り上げられているように、日本中の駅前商店街、あるいは古い商店街の現状は悲惨なものです。その中で唯一蘇ってきたのが、長浜のように外から来た人に向けてのサービスを考えるようになった商店街です。行政側にも、商業振興は商店街だけのためではなく、周辺の地域をも巻き込まなくてはならないという考え方が出てきています。商店街を「線」で考えるのではなく「面」で捉え、界隈全体が賑やかになれば最終的には商店街も栄えるだろうという理屈で、観光という面から商店街に支援をする仕組みができつつあるのです。例えば、大阪に天神橋筋商店街という、非常に長い商店街がありますが、この春、商店街が主体となって天満界隈あるいは天神橋筋界隈のグランドデザインを描くという作業を行いました。ここで出されたアイデアで最もわかりやすい例はアーケードの捉え方です。他の商店街に見られるような、雨の日に買い物に来るお客さんのため、ひいては商店街のためにアーケードがあるという発想ではなく、アーケードもまた観光資源であるという考え方にたっているのです。ビジターからも注目されるような面白いアーケードをつくり、天満界隈に多くの人々を呼び込むような地域のシンボルとしたい。こういった類の商店街からの提案に、大阪市や商工会議所が支援をするというかたちが出来上がっています。
  ホテル業界や旅行業界においても、単にある施設を面白くするとか、送客するという発想だけでは周辺の町との関係性が見えなくなってしまいます。しかしホテルや集客施設が主体となって、町全体の力を強める、あるいは面白い町を創っていくという発想があれば、またその町のイメージを高めるということがあれば、全国的、世界的にも地域の魅力を発信することができる。そして、最終的には、施設やホテルなどの集客にも繋がっていくのだと思います。観光客を惹きつけるような町の魅力づくりの仕掛けは、こうした「面」や「町」で考えるといった発想から捉えていく必要があると思います。
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