箱根観光フォーラム'97:パネルディスカッション 
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箱根から、国内観光の活性化を考える ……Page:>>3>>>>>>>10>11>12>13>14

溝 尾  では早速、日本国内の観光地の現状についてパネリストの皆様にお話をいただきたいと思います。まず、観光産業のなかでも特に旅館業について様々な問題が噴出しているようですが、柳川さんから、その具体的中身についてご紹介いただければと思います。

柳 川  日本の場合、宿泊施設には「旅館業法」に基づいて「ホテル」「旅館」「簡易宿所」そして「下宿」という区分けがあるのですが、当然その中で「旅館」が日本の伝統的な宿泊施設として、長きにわたり国内外の旅行者に親しまれてきました。現在も軒数の上では、大半が日本旅館であることに変わりありません。しかし一方で、冒頭の溝尾さんのお話にもありましたように、ホテルの進出がめざましく、それは今も相変わらず続いています。では「日本旅館」は一体今どのような状況になっているのか。旅館を訪れる人々のニーズの変化と併せてお話したいと思います。

■減少が続く「都市旅館」と「小規模旅館」



講師:柳川 義晴 氏

(株)レジャー産業研究所専務取締役

  まず旅館軒数の推移を見ますと、厚生省の統計によれば1980年(昭和55年)をピークに、今日まで15年以上もの間年々減り続けており、1年たりとも増えた年がありません。一方、収容力という面では客室数が一つの目安となりますが、その客室数も軒数同様80年以降減少しているかといえば、実は増えているのです。80年から85年の5年間は、軒数は減りましたが客室数では6万室以上増加している。それ以降ほぼ横ばい状況が続き、最近の3−年は若干減少傾向にあるというのが全体的な状況です。したがって、一軒あたりの客室数に置き換えると、かつて10室にも満たなかったものが今日では約14室と増加し、今もなお規模の拡大が続いています。では、特にどのような旅館が減少しているのでしょうか。 まず顕著な例として「都市旅館」が挙げられます。ビジネスホテルへと転換した例もありますが、30年ほど前から減少の一途をたどっています。一方、大都市、あるいは5万人規模の中都市では、いわゆる洋室のホテルがかなり増えてきており、その傾向は今も変わりありません。参考までに数値でご紹介いたしますと、客室数全体が、80年は<旅館85%、ホテル15%>で、収容力では旅館の方が多いですから実質90%が旅館であったのに対し、95年では<旅館65%、ホテル35%>と収容力でもほぼ2対1の割合となり、ホテルの収容力が年々増えてきています。そして次に、事業所統計によれば、経営者を含む従業者数の少ない旅館――特に5−10人未満の小規模旅館が最近全国的に減少してきています。一方、大規模旅館は逆に増えており、そこに勤める従業者の数も増えています。す。
  こうして旅館全体を概観してみますと、その構造変化が急速に進んでいるということがわかります。都市以外の観光地においても様々な格差が生じたり、後継者問題、団体向け大型旅館の経営悪化、そして近年では高級旅館からもお客さんが遠のいているというように、色々なところで非常に厳しい局面が見られます。
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