箱根観光フォーラム'97:パネルディスカッション 
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箱根から、国内観光の活性化を考える ……Page:>>>>5>>>>>10>11>12>13>14
溝 尾  ただいま柳川さんから、旅館業そのものの厳しさが指摘されましたが、一方で、観光が地域振興に非常に有効であるということで、新たに観光的要素を取り入れる地域が出てきたり、或いは今まで観光的に無であった地域がいきなり人気が出て浮上してくるという事例もあるかと思います。そのようなことを含めながら、高橋さんから、地域振興の全国的な動きをご紹介いただけたらと思います。

高 橋  溝尾さんのご指摘の通り、いままで観光地ではなかったところが、いきなり観光で人を集めようとするなど、特にポストバブルの中で地域振興に新たな動きが見られるようになってきました。そのなかでも地場産業と観光を上手く結びつけた事例を具体的にご紹介し、そこから見えてくる地域活性化の今後のカギについて、私なりの意見を申し上げてみたいと思います。
■地域のパワーダウンと観光産業の開拓



講師:高橋 秀夫 氏

(株)リンクスコーポレーション
代表取締役

  昨今は地方の時代と言われていますが、日本の産業構造が大きく変化し、地域経済が変化してきています。その大きな特徴としては、伝統的な地場産業が衰退し、代わって建設・土木産業やサービス業が経済の中心となってきていることが挙げられます。実際、商工会や青年会議所のメンバーは建設・土木会社の方が多くを占めているわけですが、ここに新しい問題が生まれています。従来、地場産業は歴史性をもっており、ある意味で地域文化を表現してきたのだと思います。しかし地方での土木・建設業は公共事業の分配が中心であるため、これらの産業が中心になることによって、地域の歴史や文化を継承していくという基盤が非常に弱くなってきているのです。確かに「就業人口が多い」「地域の飲み屋にお金を落とす」という意味では、経済効果はあるでしょうが、逆に地域の求心力が衰退してしまった。ところが一方で地域活性化のためのスローガンというと、依然伝統的な「地場産業」の概念で表現しようとする。ここに今大きな矛盾が生じているのです。つまり、地場産業は衰退しているにも関わらず、それをスローガンとして掲げるため、実際的な町の活性化プランがほとんど提案されていないということです。
  地場産業には、第一次産業と伝統的な製造業がありますが、確かにこうした産業は衰退しています。しかし「衰退産業にしたのは国の責任」と叫んでも何も解決しない。むしろ、たとえ衰退産業とはいえ、残っている間にはビジネスチャンスが必ずあり、そのチャンスを活かすことが出来なかった地域が衰退しているというのが実態ではないでしょうか。日本の殆どの地方都市では、地域の活力を減退させないようにと「若者の定着」を目標としてきましたが、単なる目標だけに終わっているのが現実の姿であり、その結果、地方は長男・長女社会になってしまっています。やはり、若者が定着するためには働ける場かビジネスチャンスがないといけない。そこで地方が一斉に目を向けているのが、新しい産業の開拓、つまり観光産業の育成なのです。どういう内容なのか、具体的な事例をご紹介してまいりましょう。

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