箱根観光フォーラム'97:パネルディスカッション 
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溝 尾  ありがとうございました。高橋さんからは地域振興の新たな動向や旅行スタイルの変化等について具体的な事例を含めてご指摘いただきました。続きまして、瀬田さんから、箱根の素晴らしい自然をどう活かすかということを念頭におきながら、これまでの自然公園との関わり、特に雲仙でのご指導についてご紹介いただきたいと思います。

瀬 田  柳川さんからは値ごろ感について、高橋さんからは四万十川についてのお話がありましたので、先にこの二つに繋げたお話をさせていただき、その後で、雲仙でのまちづくりについてご紹介させていただきます。
■『まるごと四万十川』ツアーの値ごろ感

瀬田氏

講師:瀬田 信哉 氏

(財)自然公園美化管理財団
専務理事
  私は、国立公園を現場で管理する仕事、いわゆるレンジャーを志願して役人になり、国立公園管理事務所にいたこともあります。当時は厚生省におりました。5年前に環境庁を退官していますので、今はわりあい自由な気持ちで各地を歩いています。旅行が好きなものですから、2年ほどの間に朝日カルチャーセンターのツアーを13回企画させていただきました。四万十川にも昨年(1996年)の11月15日――後で何故11月15日なのかと言う理由を申しあげますが――に参りました。私が企画をするツアーに参加する方々は、多くてせいぜい20−30人。自然を訪ねる「エコツアー」ですので、案内用のマイクを持たない、旗を持たない、ワッペンもつけないということにしております。ツアーの内容としては、例えば、北海道の阿寒ではマイナス20度でシャボン玉は凍るだろうかという実験もします。早朝、マイナス20度の場所でシャボン玉を出しますと、パンと弾ける。まるでダイヤモンド・ダストのようです。もちろん手がしびれるような寒さではありますが、寒さとは何かを視覚的にも体験するために、その中でシャボン玉が凍るかどうかという実験も併せてやってみるのです。
  ここで先ほどお話のありました「値ごろ感」に関連したお話をさせていただきますが、だいたいが3泊4日程度の旅行で、参加費は15万円を超えます。九州の五島列島へ行く場合ですと16−17万円程度です。私は高いと思っているのですが、「これだけ現地で色々な人に案内や解説をしてもらっているのだから、決して高いとは思わない」とおっしゃる方が半数以上いらっしゃいます。ツアーは、募集形式をとっていますので、後の半分の方は自然と新しいメンバーに入れ替わっていくといった具合です。
  さて、四万十川の話に戻りますが、実は11月15日というのは鮎の再解禁の日なのです。朝6時頃のろしが上がり、前の晩からたき火をして待っている人や船上でスタンバイをしている人たち何百人が、その合図とともに一斉に落ち鮎を獲りにかかります。私たちは、それを鉄橋の上から見ながら中流までまいりまして、獲れた鮎をおじやにして食べます。そして、普通のツアーであれば足摺岬の方に行ってしまうのでしょうが、3日かけて源流までバスも利用しますが時々は歩いて行く。そういった文字通り『まるごと四万十川』ツアーを実施しました。そのようなツアーをしている限り、「値ごろ感」という点からは高いなあと思い、いつも気にしているのですが、先ほど申し上げたように、決して高いとは思わないとおっしゃる方が多いのです。
■「自然」や「地域の人」との出会いが旅の魅力

  また、珊瑚礁の美しい石垣島の白保へ行く時には、大潮の満潮の日の何時にグラスボートに乗るとか、7月ですと釧路湿原のある場所で19時10分の落日を見る企画もしました。これは一種のギャンブルで天候が悪ければ見られないわけですし、その日の夕食はある意味では無いに等しいのです。実際、釧路のホテルに泊まり、湿原付近のレストハウスで軽食をとり、そして18時30分から19時30分くらいまで夕日が落ちてしまうまでそこにいます。このようなツアーですが、それに付き合ってくれる人たちにとっては、こうした体験をすることが、また何か良い所へ連れていってくれて、良い時間に立ち会わせてくれるのではないかという期待に繋がっているのだと思います。
  関連する事例ですが、北海道・阿寒国立公園の川湯温泉では、早朝散歩が行われています。早朝5時45分に各旅館や保養所に泊まっている人たちが集まってきまして、ボランティアの方と地元の小学生の誘導のもと一緒に硫黄山までの約3キロを1時間余りかけて歩くのです。ボランティアには学校の先生や観光協会の理事の方も参加しています。そして向こうで待っているバスに乗って各旅館に7時には戻ってくる。ツアーの出発が8時だとしても間に合う時間です。この早朝の1時間余は、それぞれの方々が参加しているツアーや同行者とは別に、地域の人たちと一緒になれる時間なのです。先ほど申し上げたのは、夕日や大潮といった「自然」との触れあいでしたが、これは「地域の人」とバラバラの旅行者とが出会い、ある時間を共有できる良い事例だと思います。この早朝散歩には年間、7−8千人もの参加があり、累計10万人を超えているとのことです。おそらく、箱根においても、そのような場所、時間、そして出会いがあるはずだと、私は思います。
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