箱根観光フォーラム’97:基調講演 
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講師: 木原 孝久 氏

わかるふくしネットワーク主宰


本業をひらく
 −地域との共生の先に新たな市場が見えてくる

  
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【木原氏プロフィール】
  千葉県の視覚障害者施設で働き、医療新聞記者、中央共同募金勤務を経て、昭和61年福祉教育研究会を主宰。57年より「わかるふくしネットワーク」に改称、現在に至る。専門分野は『福祉』だが、長年にわたって企業との接点を探ってきた経験をもとに「企業はあくまでもその本来の企業行為に目を向けて、そのひとつひとつどのような社会との接点があるのかを点検していけばよい。」との独自の企業社会貢献論を展開。『福祉』の分野に限らず、不況時代の企業の新たな市場開発のあり方を提言、活躍中。


  こんな切り出し方をすると皆さん暗くなってしまうかもしれませんが、実は私の本業は「福祉」です。この30年間、色々な福祉の現場や団体におりました。本日のテーマは『観光産業の活性化』なのに、なぜ福祉関係者が話をするんだと意外に思われるでしょう。しかし、最近様々な企業に呼ばれまして、「社員教育」や「企業の社会貢献活動」へのアドバイスを求められる。或いは企業以外でも地域や組織の活性化といった課題で関わりを求められるということが多くなっています。特に企業にとっては、そして皆さんにとっても、いま福祉や社会貢献どころじゃないよというのが本音だと思います。では、なぜこうしたニーズが生まれているのか――そこに本日のテーマに繋がる理由がありそうです。


■「福祉」が遠い存在でなくなった現代

  福祉というものも、実はかなり様変わりしてきています。「福祉」と聞くと、暗い話だな、恵まれない人を助けるんだろうということが真っ先に頭に浮かぶかもしれません。しかし、福祉は皆さんの仕事にとっても、もはや縁遠いことではなくなっているのです。皆さんの身近な場面でも、例えば、最近障害者の方からの宿泊問い合わせが増えていると思います。そして、その受け入れに関する問題も浮上していることしょう。昔は「障害者が旅行をするなんて」といった感覚があったと思うのですが、障害者だって旅行がしたい。そもそも旅行ができないということが障害者にとってのハンディキャップなのです。つまり、もっと豊かに生きたいという人間の欲求をどう充足させるか。そこに皆さんはいらっしゃるわけですが、それを充足できない人にとっては一種の福祉問題だということです。
  先日、ある旅行業者が寝たきりの人のための介護人付き海外旅行を商品化したという新聞記事を見つけました。ほぼ寝たきり状態の人、または余命いくばくもない人に介護人を付けて海外旅行をさせてあげる。なるほどなと思いました。私もそこまでは考えていなかった。つまり、寝たきりの人だって旅行がしたい、極端な言い方をすれば、死んでもいいから旅行がしたいというのが、一種の福祉ニーズになっている。すると、皆さんの商売との接点が否応なしに生まれてきてしまっている。さらに福祉を広く捉えれば、外国人の受け入れも同じことでしょう。言葉の問題や生活習慣の問題、そして内外価格差の問題などを考えると、できれば関わりたくないと思ってしまう。しかし、あんな客は嫌だと言っても、皆さんの商売の周辺にはそういった嫌な客との接点が出来てしまっている。これはどうしようもないことなのです。
  このような福祉ニーズの広がりを申し上げると、皆さんは損をしなければならないのかとお思いになるかもしれない。しかし、これからの福祉はそうとも限らないのです。冒頭に申し上げたように、私はよく企業の社会貢献セミナーに招かれます。参加されている方々はたいてい「社会貢献どころじゃないよ」という顔をしています。そこで私は妙なことを言います。――社会貢献なんかしなくて結構です。もっと儲けようと考えた方がいいんじゃないですか。どこかに新しい商品開発、新しい顧客開発のヒントはないかと貧欲に考えて下さい。その先に昨今の不況からの突破口が開けてくるのではないでしょうか。――と申し上げる。企業にとっては極めて基本的なことですし、ましてや社会貢献セミナーの席上ですから、余計なお世話だと言われそうです。しかし、バブル以降そのような基本論がどこかへ行ってしまった、私はそんな気がしてならないのです。では、なぜそのような話を敢えてするのか、具体的事例を交えてお話してまいりましょう。

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