箱根観光フォーラム’97:基調講演 
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■「豊かさ」を測る6つのダイヤグラム
  さて、最近人々は本格的に「豊かさ」を追い求め始めたなという感じがします。お金はもちろん欲しいが、お金よりももっと違うものが欲しいということで、何かが変わってきた。つまり、皆さんから見たら、お客のニーズがどこか変わってきているということです。私は生涯学習講座で講義をするときに、参加者に「豊かになるためには、何が欲しいですか、或いは何を充実させたいですか」と聞きます。すると、ほぼ同じ様な順序で回答が返ってくることに気付きました。「金・仕事」を筆頭に、「健康」「趣味・学習」「夫婦・家族」「触れあい(豊かな人間関係)」「ボランティア・社会活動」という6つの事柄です。私はこれらの項目を六角形にして描き、「豊かさを測るダイヤグラム」として講義に活用しています。そんなに単純なものではないと思うかもしれませんが、「豊かさ」を感じていらっしゃる方には共通した結果が表れます。それは、いわば『一石六鳥主義』といったものです。つまり、特定の趣味を持ちながら、その趣味で夫婦・家族を豊かにし、趣味で友達をつくり、趣味で社会参加し、趣味で金をつくる。そういう生き方をしていらっしゃる、それが共通しているのです。
  では、そうした志向が「観光」とどう関係してくるのか。もしかしたら、旅行をする、或いは旅館やホテルに泊まるということも、単に「旅行をする」「泊まる」ということだけでなく、その旅行を通じてその6つを豊かにしたいと考えているかもしれません。最近では、ボランティア・ツアーやスタディ・ツアーという大きな見出しを新聞の広告欄に見かけることも少なくありません。ボランティアもやりたいし、学習もしたい、そして地域の人々とも触れあう機会が欲しい――そういった複数のニーズをもって、それを充足するために旅行をする人が増えているのではないか。ということは、その受け皿となる企業、つまり旅館・ホテルや旅行業者は、その業に沿って、この「六角形」を満遍なく充足させるにはどうしたらいいかと考えた方が間違いないのかもしれないのです。もちろん単に休みたい、癒したいという気持ちで旅をする方もいらっしゃるでしょう。しかし、その心の奥底にある「六角形」にどう応えてあげるか。地味なことですが、そこに皆さんが一歩前進するヒントがあるように思うのです。
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