箱根観光フォーラム’97:基調講演 
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本業をひらく……Page:>>>>>>
■福祉も「統合」する時代

  また福祉の話題で申し訳ないのですが、『統合の時代』を実感させる事例をご紹介しましょう。いま福祉関係者は、分業・分化ということに必死になっています。子どもたちは、児童館、保育園、幼稚園や小学校、或いは青少年センターと子供用の施設に、そして一方では老人は、老人クラブ、老人福祉センター、老人ホームと、きれいに分けています。そしてそこに各専門職員が関わっているわけです。しかし、これでうまくいくかといえば、どうもそうではないということが最近福祉関係者にもわかってきました。何が間違いだったのでしょう。
  東京の江戸川区にある施設で、1階は保育園で、2階では特別養護老人ホームを運営しているところがあります。そこでは1階の保育園の子どもたちが2階に上がってきて、老人たちの寝ているベッドの周りでキャーキャーはしゃいでいるのです。実は、こうしてはしゃいでいる幼い子どもたちを見て、あるお婆さんが「かわいい」「抱っこしたい」という気持ちになり、立ち上がるどころか歩き出してしまったという奇跡が起こったのです。今まで理学療法士が必死の努力をしても立てなかったお婆さんがです。つまり、老人と子どもはそれぞれ分けて専門家が処遇するというのではなく、一緒にすればいい。こういった総合処遇が始まってからは、非常に良い効果が現れてくるようになりました。そこの園長さんの話では、最近他の老人ホームを訪れると何かおかしい感じがするがその理由がやっとわかった。老人しかいないからだというのです。また、自分の施設でも日曜日は保育園が休みで子どもたちがいないため、施設全体が死んだようになってしまうとおっしゃっていました。皆さんの立場に置き換えれば、皆さんはお客にサービスをする、そしてお客はサービスを受けるという関係ですが、そうではなく統合されてきた。つまり地域住民と皆さんの関係も同様で、自らが提供するサービスばかりに一生懸命にならず、住民や顧客に委ねてしまおう、セルフサービスだと考えたとき、何か違うものが見えてくるのではないかと私は思います。
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