箱根観光フォーラム’97:基調講演 
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■地域全体の「共生」に目を向け、夢を売る産業へ

  私は、最近箱根に来ることもあまりありません。能がないので、来ても登山電車に乗って強羅へ行き、ロープウェイに乗って芦ノ湖へ出るといったお決まりのコースで、「ああつまらない」となってしまうのです。しかし、実際には独自のコースを開拓している方もたくさんいらっしゃるでしょうね。あそこはこんなふうに歩くと面白いとか、ロープウェイに乗らずに歩いてみるとこんなものが見える等、色々な情報を持っていらっしゃるのだと思います。私はそういう情報をお客からどんどん提供してもらえばいいと思うのです。例えば、観光ルートの「開発情報センター」といったコーナーを設置して、宿泊客に情報を提供してもらい、それを他の宿泊客にも公開する。お客や住民にも学習の成果をホテルや旅館で活かさせてあげるのです。皆さんご自身が一生懸命苦労して新しいサービスを作らなければならないと思いこむより、むしろ少し肩の力を抜いて、地域全体の相互依存関係――硬い言葉で申し上げれば「共生」ということに目を向けて見てはいかがでしょうか。
  そして、そのようなことを単なる「社会貢献」と捉えずに、ここから何か突破口が開けてこないか、転んでもタダでは起きないぞという執念でビジネスに繋げていく。そういう姿勢がこれからの時代の「売り」になっていくような気がします。
  最後になりましたが、もう一つだけ福祉の話をさせて下さい。私は中央共同募金会に10年ほどおりましたが、最近「募金」というものが面白くなってきました。これまでは恵まれない人にお金を差し上げるということだったと思いますが、今ではちょっと面白い募金のやり方が出てきました。例えば、津川雅彦さんは北欧からお城を運んで来るのです。お城をつくりませんか、そのためにお金を出しませんかというのです。お金を出してつくったところで何の得にもならないのですが、夢を買って欲しいとおっしゃる。最近の募金活動は、お金を下さいというものだけではなく、豊かな時代をつくる一つのイメージ――夢に乗ってみませんかと訴えるものが増えています。もしかすると、企業も将来夢を売って、それが売れる時代になるかもしれません。つまり募金とビジネスが同じことになってしまう。それに近づいてきたような感じがするのです。皆さんの仕事の周辺には、まさにそのような豊かさ志向をもった人々がたくさんいらっしゃいます。それらにどう応えていくか――その対応の仕方次第で、きっと今までと違う何かに出会うと私は確信しております。(終)