沖縄観光フォーラム'95:パネルディスカッション 
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観光客は何を望んでいるのか……Page:>>3>>>>
司 会  続いて新城さんにお伺いします。新城さんは沖縄コラム誌『WANDER』の編集を通じて独自の情報発信をされていらっしゃいますが、『WANDER』への読者の投稿のご紹介を含め、沖縄観光の現状についてどうお考えですか。

■沖縄の真の姿と先行するイメージとのギャップ

新城氏

講師:新城 和博 氏

(有)ボーダーインク・編集長
新 城  初めて東京にいったとき、空港や駅に貼られた「青い海、青い空」を全面に打ち出した沖縄ツアーのポスターを見て、「いいところだな。俺も行きたいな」と思わず感じてしまったことを覚えています。これまで沖縄を訪れる観光客との間に感じていたズレはこれなのか、自分とは接点がないなあ、と強い違和感を覚えました。以来、こうしたイメージだけに振り回されたくない、そんな強い気持ちから、沖縄のイメージを自分たちの中からつくり出していこうと、沖縄の人による沖縄の人のためのコラム誌を作り続けています。
  出版全体として私の作りたい本の理想は、あくまでもここに住んでいる島の人たちのための本であり、その結果、外部の人にも興味を持ってもらえたらいいなということです。現在季刊で発行している沖縄コラムマガジン『WANDER』には、沖縄の人はもちろん、沖縄を好きなヤマトの人たちにも大勢参加してもらってます。そういう人たちも最初は「ホテルに泊まってダイビング」というパターンが多いのですが、何度か通っているうちに様々な人と出会い、その背後にある生活のリズムとか文化に気づいていく。最近では、沖縄の音楽が聞きたくて那覇に移住してしまうような女性も多くいます。結局、文化というのは、そんな繋がりのなかでしか解り合えないのではないかという気がするのです。いきなり、首里城、琉球文化などと言っても、そこには沖縄の人たちが暮らしている文化のリズムは全くないわけで、その気になって売ったとしても、相手には全く伝わらない。このことは非常に重要なことだと思います。
  実は『WANDER』では、ときどき「観光を考える」というコーナーで、沖縄観光に携わっている人たち――お土産品店の人やホテルのアルバイトのボーイさん、そしてバスガイドの人たち等が観光や観光客をどう見ているのか、本音を聞いてみようという企画を立てています。最近、「さよなら添乗員」というタイトルで在沖縄歴7年の内地の添乗員の方から、「仕事として見せている用意された沖縄と、いままで住んできた沖縄との大きなギャップに苛立ち、観光産業からは身を引くことを決意した」との投稿がありました。経済・雇用面で観光が大きく寄与していることは承知していますが、私自身も、観光とかリゾートということで打ち出されている沖縄が、この島の実際の姿を変質させてしまうことに恐れを抱いています。このことは沖縄に携わっている様々な分野に当てはまることで、本を作るのにも、始めから「沖縄はこうありき」という姿勢で作ってしまうと、どうしてもその内容と沖縄の実態にギャップが生じてしまいます。そういう意味で、今後の沖縄観光を作り上げていく上でも、イメージ先にありきということではなく、旅行者の人たちと私たちが持っているお互いの文化が交流できるようなものの作り方、滞在のさせ方みたいなことを、もっと考えていただきたいなと考えています。
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