沖縄観光フォーラム'95:パネルディスカッション 
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観光客は何を望んでいるのか……Page:>>>4>>>

司 会  これまでの共通の視点として、沖縄の固有性と観光の関わりについてそれぞれご指摘がありました。田島さんは、読谷村での観光を基軸としたユニークな地域活性化に長年関わっていらっしゃいますが、その辺をどうお考えですか。
■読谷村にみる地域固有の開発のあり方

田島氏

講師:田島 利夫 氏

(株)地域開発研究所代表取締役
田 島  ご紹介いただいた「読谷村」は、沖縄中南部都市圏の西北に位置する人口3万人余の村なのですが、これまでこの村では、米軍人利用の低下に伴う外人住宅のペンションへの転用や地元の人でも楽しめる手ごろで安全(無農薬)なゴルフ場の建設、そして最近では漁協と地元のダイビング会社との提携によるジンベイザメのダインビング事業など、地元の人たちによる観光をテーマとした地域活性化が幾つか行われてきました。もともとは、米軍基地が村域の7割を占めるという劣悪な環境の中で、基地返還とむらづくりを連動させ、「自分の住んでいる地域のなかで何がやれるだろうか」といったことからスタートした運動の一環でもあります。
  こうした事例の共通点は、基本的には自主・自立型で、観光やホテルなどで直接儲けようという発想ではないという点です。つまり、間接的に地域全体のレベルアップを図っていったり、自分達の視野を広げるといった枠のなかで観光というものを活かしている。そして何よりも申し上げたいことは、そこで自分達も楽しんでいるということです。また、そのような事例が幾つか出てきますと、従来型の、ホテル経営者層や自治体首長といった人たちだけが懇談するというかたちではなく、現場の担当者同士が直接交流するようになってきています。その結果、例えば商工会主催のまつりの中で、牛飼い農家とホテルのコックさんが協力して牛の丸焼きパーティーが実現するといったような、今まで考えつかなかったようなアイデアがあちこちに生まれ、村全体としての厚みが増してきています。まさにその地域固有の開発というものに繋がっているような感じがします。
  そういった状況を見てきますと、沖縄観光にも、これからは働いている現場の人たちが情報を交換して、そこで新しいものをつくり出す。そこにお客さんが参加するというようなかたちの、全く新しいタイプの開発が求められてくるのではないかという気がしています。
  これまでも観光リゾートということで、県内各地に大型ホテルが建設されてきましたが、それ自体新たな開発投資や投機としての側面の方が強く感じられます。地域というのは、観光客のみを目的にした大型資本の投下だけで建設できるものではありません。代替できない固有性をつくっていくということと、そこで自分たちが楽しむという発想が非常に重要になってくるのではないでしょうか。
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