沖縄観光フォーラム'95:パネルディスカッション 
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観光客は何を望んでいるのか……Page:>>>>>>7
■沖縄の「人」こそ、沖縄観光の最大の資源

田 島  私も、今後の沖縄観光のあり方として、沖縄の文化が決め手だと考えています。ただ、伝統芸能を見せるとかいった文化ではなく、ヒューマニティーという意味での文化で、それを担う「沖縄の人」こそが最大の資源だと思うのです。ホスピタリティーについても同様で、観光産業のサービスという面だけで捉えていくと多少概念が狭まってしまいます。そこにもヒューマニティーという意味が含まれていなくてはいけない。つまり、観光のあり方とか考え方を自分たちの生き様みたいなところまで広げて点検し、新しい人間とか文化を沖縄が作り上げていくということだと思います。
  私は沖縄の方々とよく旅行に出かけることがあるのですが、その時感じることは、どこの国へ行っても沖縄の人は明るくて適応性があるということです。しかしそんな沖縄の人でも元気がでない場所があります。それは皆さんもおわかりのように東京です。東京に来ると皆無口になってしまう。なのに、何故そのような東京のニーズを前提に自分達の事業を組み立てようとするのか、私には不思議でなりません。むしろ東京とか日本が特殊であって、沖縄の人たちの方が世界と気楽に交流できるということであれば、世界の方が沖縄に近いのではないかという感じすらしています。そういう意味で、この国にもっと多様なものがあるほうが楽しいし、それを担ってくれるのが沖縄ではないかと思っています。沖縄に来ていろいろな人に出会える。そういう仕掛けがたくさん沖縄観光の中に広がっていくことを私は期待いたします。
■21世紀型の「人」と「文化」の出会い

新 城  今の田島さんのご意見に私も賛成です。もしかしたらリゾートとか観光というものも、沖縄で文化になるかもしれないなという要素はいっぱいあると思います。沖縄の人の観光とか旅の考え方はヤマトの人の考えるそれとは違うと思うのです。ですから、観光についても、どこかにモデルを求めない方がいいのではないでしょうか。リゾートということでよく引き合いに出されるハワイも、本当の魅力はその裏側にある文化です。そういう意味で、リゾートも一つの思想、文化であり、それを沖縄に持ち込む場合には、もっと丁寧に自分たちのことを知らないとあてはめることができないのだと思います。沖縄のリゾートにも、リゾートという言葉では説明しないですむような、21世紀型の人と文化が出会うようなあり方があって欲しいなと思います。
■観光に従事する人は、もっと率先して遊ぼう

小 濱  今新城さんが触れられた「リゾートという言葉を使うのがはばかれる」という話ですが、誰がリゾートという言葉をこんなに珍奇な言葉にしたかといえば、リゾート法を作った人たちとリゾート法に便乗した皆様でもあるわけです。「リゾート」の本来の意味は、そこに行った人が住みたくなるような地域だと言われます。沖縄は「リゾート」を目指すわけですから、誰が来てもここに住みたくなるような沖縄にしなければなりません。そのために皆様がやらなくてはならない課題は山積しています。ホテルマン、旅行業や航空会社の方々はサーバントではなく、この沖縄を演出していく演出家であったり、情報を伝達する情報伝達係であるべきだと私は考えています。また、そうなるためには沖縄の人たちはもっと自分達で遊ばなければいけないのではないでしょうか。自分が遊んだことがないのに、人を遊ばせることができるわけがないという発想にたてば、皆様はもっと率先して遊んで下さいということを最後につけ加えておきたいと思います。
■オリジナリティー、リアリティーの追求

田 島  私も最後に一言だけつけ加えておきます。小濱さんが冒頭、沖縄の固有の価値と自意識の乖離について指摘されましたが、沖縄の観光開発はどちらかというと建設投資をずっと続けてきて、未だ中身の話に及んでいないのではないかと思っています。これからは是非中身の話をつくっていく時代にして欲しい。そのときに、固有の価値、自分が思っていることと他人との乖離がたくさん出てくることでしょう。しかし、そこを通過しないと何が一番オリジナルで、そのリアリティーが何なのかがわからないものです。是非とも自分たちの価値観を大事にしながら、今後、中身を組み立てていっていただきたいと思います。


司 会 長時間にわたり、各パネリストの方々から今後の沖縄観光に対するご提起をいただきました。とりわけ、その担い手である観光産業従事者の課題がぼんやり浮かび上がってきたのではないかと思います。行政や業界団体、企業に対して要求をする、そして問題の解決にあたるという、これまでの労働組合の機能に加え、観光産業の担い手である働く者自身が企業の枠を超えて横断的に集まっていきながら、様々な人たちとネットワークを作り上げていく。その中で、労働組合としての観光の将来に対する政策を作り上げていくことが大変重要な時代になったのではないかと感じています。今回のフォーラムは、その始まりに過ぎないということを共通の認識として、ディスカッションを終了したいと思います。(終)