沖縄観光フォーラム’95:基調講演 
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観光産業と環境保全  ……Page:>>>>>>
■「持続可能な発展」の考え方

 日本、アメリカ、ヨーロッパという経済的に相当豊かな国々や地域では、環境問題の重要性が叫ばれていますが、開発途上国ではそれよりもまず「食べるほうが先」という状況で、環境問題に対する受け止め方は国によって様々です。しかし、このままどこの国もが経済成長一本槍でいくと地球はパンクする。つまり、フロンによるオゾン層の破壊や、石炭や石油などの燃焼から生じる二酸化炭素ガス等の増加による「地球温暖化」など、地球規模で起きている諸問題を放置すれば、人類の発展、さらには存続自体が持続可能ではなくなるのではないかという危機感は世界中で一致しています。そこから出てきたのが「持続可能な発展」という考え方で、1992年ブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球環境サミット」以来、一般的に使われるようになりました。細かいことを言うようですが、ここでいう「持続可能な発展」とは、「持続的発展」と明らかに異なることを指します。「持続的な」発展を遂げようとすると、「持続可能」でなくなるのではないか―――言葉を換えれば、特に私たち日本人はバブル崩壊に至るまで、常に右肩上がりの経済に慣れてきたのですが、地球的規模で見ても右肩上がりという状況は今後そうは期待できない、或いは期待してはいけないというところまできている。そのような考え方にたっていると思って頂ければいいと思います。
 では、具体的にどのような行動をとればいいのか。現実的には、私たちはかなり快適な生活をし、そのレベルを落としたくはないと思っている。だからといって、中国の人やインドの人、或いはアフリカ諸国に住んでいる人たちの、もっと楽ないい生活をしたいという欲求を阻止する権利など持ち得るはずもありません。ですから、そこをどう調整するのかということが、環境を考える上で一番難しい課題となっているのだと思います。
 このことはある意味で、観光についても全く同じことがいえます。例えば信州の山は、東京から行った人間にとっては、空気は澄んでいるし、景色も素晴らしい。これは開発せずに、この景観をそのまま保存しておいて欲しいと言うわけですが、地元の人にしてみれば、やはり景色よりも食べるほうが先決だ、どうにかして欲しいという話があるわけです。つまり、国と国との間で言える同様のことが、日本の中でも都会と過疎地、山村、離島との間でおこっている。観光を考える場合にも、このあたりが非常に重要な、かつ難しい課題になってくるのだと思います。
 このように考えていくと、日本は数年前にバブルというものを経験したのですが、長い人間の歴史の中でも、産業革命以降のここ100年ぐらいの期間は、人口の急増とともにエネルギーの使用量も急激に増え続けてきたという意味で、バブルだったという見方もできるのではないか。バブルなどという状況はあまり長続きするはずもなく、これをどうにかしていかねばならないということに、全世界の人々が注目し始めた――――そんな状況にあるのだと思います。
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