楽しくわかるニッポン通訳案内--No.6

(和訳バージョン)

中山 幸男
[
profile]

何教を信仰しているのか?


  過日、ナイジェリアから来た男性4人のグループを連れて、都内の案内をした。コースは午前中、東京バプテスト教会に行き、午後は秋葉原でショッピングという内容。ナイジェリアの宗教は北部がイスラム教、南東部がキリスト教、そして土俗宗教が全域に広がる分布になっている。














  今回、ご一緒した人たちは敬けんなキリスト教徒たち。この日がたまたま日曜日だったので、朝の礼拝に参列するという日程になった。新宿のホテルを出発。車が走り出して、いきなり質問が飛んできた。
Are you a Christian?
 (和 訳)

  教会に一緒に行くガイドだから、信者だと思われたようだ。私は仏壇の前で鐘をチーンと鳴らし、神棚の前では柏手を打つという日本人によくあるタイプ。こんなふうに答えた。
Well, I'm a Shintoist and Buddhist, typical Japanese.
 (和 訳)
According to some statistics, Shinto has about 105 million followers in Japan, and Buddhism about 95 million.
 (和 訳)
If you add them up, the total number comes to nearly twice as big as the entire polulation of Japan!
 (和 訳)

  日本人のキリスト教信者はというと175万人ほど。ところが、何教を信仰しているのかと問われると、
More than half of all Japanese say they don't believe in a religion.
 (和 訳)

  ということになってしまう。なんだかややこしい話。それに、数字もちょっと羅列しすぎたようだ。こんなときは軽いジョークを言って笑わせるに限る。
By the way, most of Japanese become Christmas Christians.
 (和 訳)

  これはいつも笑いが取れるとっておきの
一口ジョーク(=one-liner)。皆さんも機会があったらぜひ使ってみて。
  渋谷と代官山の中間に位置している東京バプティスト教会には私も初めて行った。1日に3回、英語での礼拝がある。かなりの盛況で、いつも二十か国以上の国籍の人々がやってくるらしい。礼拝には付き物の賛美歌をクワイアのリードで何曲も歌ったが、歌詞が壇上に設置された大画面に表示されるように工夫がしてあった。


自動車ジョークが大ウケ


  今回同行した4人は、日本の自動車会社の現地社員やディーラーの人たちで、日本を訪れた主目的は自動車工場の見学とのこと。実はかねがね試したいと思って練習していたジョークが1つあった。自動車に関する小話なので、お披露目をするには絶好の機会。こんな内容だ。

  日本人の観光客がNYの滞在を終え、タクシーの運転手に空港まで行ってほしいと告げました。途中、タクシーの横をホンダの車が通り過ぎて行きました。するとその日本人は窓から体を乗り出し、興奮しながら叫んだのです。
Honda, very fast! Made in Japan!(ホンダ、とっても速い! 日本製だよ!)。
しばらくすると、トヨタの車が勢いよく通り過ぎて行きました。
Toyota, very fast! Made in Japan!(トヨタ、とっても速い! 日本製だよ!)。
次に三菱の車がスピードを上げてタクシーの横を通り過ぎて行きました。
Mitsubishi, very fast! Made in Japan!(三菱、とっても速い! 日本製だよ!)。
運転手は少々カリカリ来ていましたが、黙っていました。その後何台も同じことが続きました。やがてタクシーは空港に到着。運賃はなんと300ドルとのことで、日本人は抗議をしました。すると運転手が答えました。
Meter, very fast! Made in Japan!(メーター、とっても速い。日本製さ!)。

  反応はというと大成功! 私はone-linerのような短いジョークを言うことが多い。長めのジョークの場合は、日本人が登場する話だと成功する確率が高くなる。「俺たちはこんなことをするんだ。おかしいだろう」というノリでやるのがウケる要因で、相手の共感を呼びやすい。


秋葉原で客たちが買い占めたものとは?


  秋葉原では「ラオックス」の免税品店に案内。ここは品揃えが豊富な上に、店員が外国語で対応してくれるので助かる。日本の民芸品まで売っているので、お土産を一度にいろいろ買うのにも重宝する(このような店をよく
one-stop shoppingという)。ただし、外貨は使えず、店内で両替をしてくれないので、その旨を伝えておく必要がある。日曜日は銀行が閉まっているので、宿泊先のホテルなどであらかじめ両替をしておいてもらうのが無難だ。
  この日、お客の4人にいちばん人気があったのは、定価1万円が1000円に値引きされている腕時計。日本製の部品を使って台湾で組み立てたらしい。「メード・イン・ジャパン」であるような、そうでないような……。4人とも店内で各製品を吟味しているときは、必ず日本製かどうか店員に尋ねていた。日本製の信頼が厚いようだ。腕時計はパーツだけ日本製でも十分信頼に足るものだったのだろう。4人で合計して50個以上も買っていた。
  ちなみに当日の移動に使ったのはジャンボタクシー。予約料は400円かかるが、今回のように私を入れて乗客が5人のときは、普通のタクシーだと乗り切れないので便利だ。帰りの道中では、バックミラーのところに付いているお守りについて聞かれた。

This is a good-luck charm for traffic safety. Temples and shrines also sell charms for domestic harmony, protection from fire and success on exams.
 (和 訳)

  日本人の宗教観については、
Japanese practice Shintoism and Buddhism in their daily customs rather than expressions of faith.
 (和 訳)

  の説明を加えたら、お守りがヒントになったのか、納得したような顔を見せてくれた。