食い気は愛にも、、、勝る!? ……Page >>>

■手強かった食生活のかべ

 だが、食習慣となるとそうはいかない。なにしろ30年近くも和食を食べてきたのだ。オーストリアに来る前は、まず恋しくなるのは日本の風呂で、食事なんてどんと来い!と思っていたのだが、オーストリア料理は手強かった。肩までゆったりの湯船など忘れ、シャワーだけでも充分というほど成長したのに……。
 10年の歳月で細かな記憶は定かでないが、暮らし始めた頃には食べられなかったものが美味しく感じられるようになるまでに、たいして時間がかからなかったように思う。現在は、同居している義父母とはキッチン、居間、バス、トイレと全て別々なのだが、結婚当初我々には寝室とシャワー、トイレしかなかった。義母のキッチンに居候して、オーストリア料理を覚えるにはまたとない近道を歩ませてもらった。毎日筋金入りのオーストリア料理を食べていたことにもなる。また美味しいから調子にのって満腹になるまで食べたりもした。しかし、肉より魚という家庭で育った私の胃袋がストライキを起こしてしまった。そうなると和食を食べたい思いが日に日につのるから始末が悪い。
 そんな頃、ウィーンに行く機会があった。「食べたいものを食べろ」と言う主人が観音様のように見えた。そして連日和食レストランに通った。最近では家庭的な雰囲気のレストランも目立ってきたが、この和食レストランという魔窟は値が張る。だが普段はしまり屋の私も、この時ばかりは財布のことを考えなかった。いや、ちょっとは考えたか……。そうだ、お得なランチタイムを狙ったくらいだから。とにかく、以来重度の和食恋しい病にはかかっていない。 それどころか、日本では雑巾を絞るような鈍く重い痛みに夜中に目覚め、脂汗を流し、痛みが治ると眠りにつくという悪循環を繰り返していた胃袋が、不思議なことにオーストリアに来てから、回数が減り、痛みも軽くなった。脂っこいオーストリア料理を食べているのに?そう、オーストリア料理を食べているのになのだ!!!
 食習慣のせいかも?
 
 例えば、ジュースである。たった一杯のグラスに入れたジュースにもカルチャーショックがあった。
 日本にいた頃、私はジュースを飲み干した後、残った氷をガリガリと食べることを愉しみにしていたが、オーストリアに限らず欧州では、夏でもジュースに氷など浮かんでいない。最初は物足りなかったが、今では常温のものを注文するのが当たり前となっている。冷えたものしかない時は、グラスを温めてもらってからジュースを注ぐという念の入れよう。そして日本で外食をする際には、氷を取り出し、気休めに掌でグラスを温めなくては水すら口にできなくなってしまったほど、私の日常では習慣化してしまっている。聞くところによれば、インドでは熱々のチャイには見向きもせず、ひとしきりお喋りをして、人肌に冷めたものを飲むというではないか。
 やはり、熱いものや冷たいものではなく、体温に近いもののほうが体に優しいのだろう。
 もう一つ、日本人の主食であるご飯はしっかりとかまなくても呑み込めてしまうが、オーストリア料理はしっかり噛まないと呑み込めないので、私もしっかり噛み砕いているのだろう。
 この二つが私の胃痛を追い払った原因だと信じて疑わない。
【レバーとペーストの詰めものづくり】

レバーとペーストの詰め物づくり1
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レバーとペーストの詰め物づくり2

この後、ビニールの腸もどきに詰めて、70度のお湯で1時間ほどゆでると、出来上がり!
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