SQUARE:2002.Spring
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フリーランス・ライター
たかやま かずえ





プロローグ

  
気が遠くなるような長い歴史を刻んで、脈々とその形を変えることない二つの川、ユーフラテス、チグリス川の流れは過去と現在と未来に先人の生きた証しを今に伝えている。この二つの川が織り成すメソポタミア文明は人間の英知が生んだ世界最古の文明である。その一つ、ひとつが私たちに語りかけるメッセージがあるとすれば、人間の力強い生命力と崇高な理念だったのではないだろうか。
  人間は進歩と発展を願いながら、しかし、その傍らで崇高な理念とは裏腹に、幾多の戦いを繰り返してきた。人間はこんなにもやさしく、愛しさがあることを時として失うものである。それでも、人間の精神、先人の魂は時代を変えながら、そして、時代を超えて、現代に再び息吹を投げかけている。
  湾岸戦争を経て、経済制裁から11年、メディアは脅威の国、閉ざされた国として伝えられるイラクは穏やかな空気に包まれていた。


危険度5の意味

  外務省の海外危険情報は渡航者が海外へ渡航する場合、安全を確認する目安にしていることは承知の通りである。また、観光業者にとっては、この危険度がビジネスに左右される厄介なものだが、この外務省の危険度情報は今年から取り外され、安全の基準は個々に任されることになるという。
  アメリカの同時多発テロ事件からイラクの全域が危険度5になった。この危険度は退避勧告という最も危険度の高い数値である。この数値を見ればイラクは世界中のどの国よりも最も「危険な国」なのである。
  湾岸戦争後、停戦にもかかわらず、今もなお、米英はイラクに対して武力行使を続けている。イラクの北と南の飛行禁止区域は、自国の領土さえ、飛行できない区域であり、監視飛行という理由の度重なる空爆は昨年にはバグダッド近郊への攻撃も行われた。
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