知られざるイラクの素顔 ……Page >>>>



(イラクを代表する女優アマール)
■南バサラ

  
滞在中も、南のバサラに空爆があった、というニュースが飛び込んできた。バサラは遺跡も多く緑の自然の恵まれたイラク有数の保養地である。「歴史ある、自然の美しさはバサラだ」「必ずバサラへきてください。僕が案内します」と熱っぽく語ってくれた青年は名前と電話番号を書き記し「本当に待っているから」と言い残して別れた。
  
青年は「湾岸戦争時のダメージも見て欲しい」「私たちは海の向こうの遠いアメリカ、イギリスへも行けないのにね」と言った言葉がイラク人の気持ちだろう。
  湾岸戦争で最も被害を受けた地域だが、その美しさは旅人を虜にするというバサラはアラビアンナイトでお馴染み、「シンドバッドの冒険」の始まりの舞台となったところでもある。緑の森と運河の町はバグバグダッドから飛行機で1時間、車なら6時間のバサラは空爆に脅える町と美しい町が一つだとは信じられない。


■イスラムが教えるもの

  アメリカのテロ同時多発事件から、世界情勢は一変した。イスラム原理主義とは相反する「イスラム」「イスラム教」「イスラム国家」「イスラム教徒」は否応なく標的にさらされた。西側のメディアはイスラムの挑戦か、それとも宗教戦争の始まりか、また、文明の衝突だ、と激しく書きまくっていた。国家対国家の戦争ではなく、国家対個人の戦争に他国を巻き込んで、止まることを知らず、今なお終わりは見えないどころか、テロ事件を契機にテロ撲滅という謳い文句に新たな火種を模索し、新しい戦争を仕掛けていく。不幸にして、イスラム圏を舞台にしたアフガニスタンは無差別な空爆により、多くの民間人を傷つける結果になった。それでもなお、空爆し続ける意味は何だろうか。
  長いこと、アメリカ主導の下に行われているイラクに対する経済製剤はアメリカの仮想敵国とする理由のみに行われている。
  初めて会った人たちは親しくなるのに時間はかからなかった。その人たちは何十年も前から友だちだったような気持ちになったのはイラクの人々の国民性だろうか。
  経済制裁下、決して豊かとは言えない暮らしの中にあって、穏やかな、親しみを込めて旅人を包んでくれた。アラブの世界は他人(ひと)にとてつもなく優しかった。他人を思いやる気持ちはどこの国にも負けないものがあった。




花婿24歳、花嫁17歳の若いカップルは、「早く子供が欲しい」と言っていた。

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